B-Corp認定への道:フェーズ1を終えてわかったこと

今年2021年の初めに、ピープルフォーカス・コンサルティング(以降PFC)は、Bコープ認証の取得を目指すことを決めた 。

第一フェーズは終了

まず、目標達成までの道のりとして、3つのフェーズを設定した。

第一のフェーズは、Bコープの基準を満たすために、会社として変更したり改善したり、新たに取り組まなければならないことを特定することだった。PFCのスタッフのうち約4割が、このフェーズ1の作業に参画することを自ら志願した。このときの様子については前回の記事に記したが、フェーズ1は無事5月をもって完了し、いよいよ、実行段階であるフェーズ2に乗り出したところだ。なお、フェーズ2はPFCのすべてのメンバーが、参画することとなった。

この記事では、Bコープの認証基準について、第1フェーズの活動から我々が学んだことを共有したい。

業種によって必要な要素が異なる

最大かつ残念な驚きは、Bコープの認証ポイントの仕組みを理解したときであった。Bコープ認定には200 ポイント中80 ポイント以上を獲得することが必要とされている。「200点のうちの80点であれば、難なく取れるのでは」と当初は思われた。しかし、精査するうちに、査定の質問には、いくつかのスクリーニングの質問があり、その回答に応じて、その後の質問項目や質問数が変わってくることがわかった。つまり、PFCのようなプロフェッショナル・サービス・ファームの業態の場合、そもそも質問項目数が比較的少なく、したがって、認定を受けるために必要なポイントを獲得する機会も少ないということになる。

200点満点の80点ではなかった衝撃

例えば、PFCのようなプロフェッショナル・サービス・ファームの場合、物資の購買は極めて限定的である。したがって、供給業者管理に関する質問群は、製造業の組織が受ける質問よりもはるかに数が少ない。概算ではあるが、PFCに適用させる質問から得られる最大のポイントは110点に過ぎなかった。この110点のうち80点を獲得しなければならないとなると、多くの質問に対し最高点を稼がなくてはならないということになる。 さらに、達成したくとも、われわれには難しい目標もいくつかある。たとえば、「Job Growth」という項目では、人員を年間25%増やした場合、最大4ポイントを獲得できる。PFCは何年にもわたって着実に成長はしているが、そのようなペースで成長することはなかったし、今後もないだろう。

「労働者」では高いポイントを獲得

Bコープ認証は、「ガバナンス」、「顧客」、「労働者」、「コミュニティ」、「環境」、「情報公開」という6つの「インパクト分野」から成る。 最後の「情報公開」にはポイントが付与されないので、残りの5 つの分野に注力していくことになる。

嬉しいことに、試算によれば「労働者」の分野では、PFCは現状でも高いポイントを獲得することができている。PFCは、創業以来、皆がお互いに敬意を持って接し、成長と楽しみの機会を提供することにコミットしており、それを誇りとしている。

また、2012年に松村卓朗が社長に就任して以来、「ガバナンス」分野も大幅に改善されてきている。それ以前は、創業者の黒田由貴子が、オーナーであり、経営者でもあり、PFCの経営は黒田個人に依存してきた部分が大きかった。現在は、松村とその同僚による経営チーム体制が敷かれているだけでなく、社外の独立取締役および監査役からの監督も受けている。

また、「ガバナンス」分野には、PFCにとって簡単に得点を獲得できる項目があった。それは、「Mission Lock」という質問項目で、組織における意思決定は全てのステークホルダーを配慮することに縛りをかけるという内容だ。具体的には定款を変更して、その旨を記載することになる。PFCは実質的にはそのような企業運営をしてきたので、後追いで形式を整えればよいというわけだ。この質問項目だけで、10ポイント稼ぐことができる。これは、認証に必要な合計ポイントの12.5%にもなる!

取得にあたっての最大の難問は「環境」

PFCにとっての最大の難関は「環境」分野だ。数多くの質問項目に対処していなかなければならないが、加算できるポイントはひとつの質問に対し1点にも満たないものが多い。一般論としても当然のことながら、PFCのような業態の企業にとって、環境は、「マテリアルな課題」(重要度の高い課題)とは見なされていない。たとえば、業界ごとのマテリアルな問題を示すSASBのマテリアリティマップを見ても、プロフェッショナル・サービス業界には、環境系の項目は一切含まれていない。 しかし、だからといって、我々が、自分たちが済む地球の環境保全に責任がないということにはならない。これまで我々も、気づいたときには環境のための策を打ってはきたが、今後は、エネルギーや水の使用、廃棄物などに関して、より確固たる包括的・戦略的な施策を立案・実行してくことになる。特に、温暖化ガス削減については、日本で生成されるエネルギーの約75%が化石燃料から生み出されていることを考えると、チャレンジングな課題だ。

東京でのローカル調達の意義

「コミュニティ」分野では、PFCの置かれた状況に当てはめると、首をかしげたくなる項目がいくつかある。たとえば、Bコープ認証では、 組織が所在するコミュニティに貢献するために、ローカル調達を重視する。PFCは東京にあるので、ほとんどの物やサービスを東京で調達するのは簡単だ。しかし、日本では、東京一極集中と地方経済の衰退が主要な社会課題であるわけだから、東京以外で調達したほうが、社会的意義があるはずだ。この疑問については、Bコープ認証の過程で行われるヒアリングのときに、投げかけてみようと思う。

認証には時間がかかる

あるPFCメンバーが、同規模で同業のBコープ認定企業に連絡を取ってくれた。認証においての心構えや助言を求めたところ、「認証にはとにかく時間がかかるから、早めに申請したほうがよい」という助言が得られた。彼らは認定までに2年を要したという。

我々は1年程度を見込んでいたので、その倍の年月がかかることを覚悟しなければならないが、認定までの旅路が楽しめるものである限り、何年かかっても我々が前進を止めることはないだろう。