2021年のPFCの挑戦:年頭のご挨拶(代表取締役 松村卓朗)

新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、皆さま方には大変お世話になり、ありがとうございました。
本年も、昨年に引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
年頭のご挨拶の場を借りて、今年のPFCの挑戦のいくつかをお話させていただきたいと思います

2021年の抱負を語る前に、まずは、忘れられない年となった2020年を簡潔に振り返っておきたいと思います。

2020年は、私達の存続すら危ぶまれた年でした。何しろ研修やワークショップはもろ“三密”(密集・密閉・密接)で行うものですから、コロナ禍に見舞われた3月以降は、軒並み中止・延期に追い込まれました。
しかし、コロナ禍だからと言って、どの企業も人材育成を止めるわけにはいかないはずです。そこで、いずれ必要になることを信じて、自粛期間中には、オンライン研修のラインナップを充実させることに勤しみました。

世の中の状況が落ち着き始めると、ありがたいことに、一度中止・延期となったクライアントの皆様からも、あらためて実施のご相談をいただくようになりました。そして、そのほとんどの場合は、「オンライン」「バーチャル」「リモート」での提供を求められたため、クライアントの皆様と知恵を絞りながら、対面時と効果が変わらないように、あるいは対面時以上の効果をもたらすように、デリバリーにおける工夫を重ねていきました。

コロナ禍でやむなく求められた挑戦ではありましたが、おかげで、私達が提供するサービスのほとんどは、オンライン/バーチャル/リモートで提供できるようになりました。

昨年末に、社員皆で2020年を振り返った際には、大変な1年だったけれども、一人ひとりが、チームで協力しながらあるいはクライアントの皆様方と共に、様々な試練や挑戦を乗り越え、「コロナ禍によって、私達は一段と強くなれた」と皆が実感していることを確認できました。
皆さんは昨年を経験して、強くなれましたか?

私自身の個人的な体験で恐縮ですが、昨年の出来事を一つ共有させていただきたいと思います。高校生になる娘に、「自粛で学校に行くこともできず、部活動も休止を余儀なくされ、修学旅行も文化祭も中止に追い込まれた。楽しい学生生活が奪われ、友達と遊ぶどころか、会うことすらできない日々となり、本当に大変だったな。」という労いの言葉をかけたときのことです。今思えば、娘に向けたというより、苦境に見舞われ打ちひしがれ弱気がもたげていた自分自身への労いのつもりだったのかもしれません。彼女から返ってきたのは、「全然大変じゃない。自分の人生に訪れることがこんなことでよかった。」という言葉でした。
それを聞いたときに、はっとした自分がいました。もちろん、これからの人生、まだ何が起きるかは分かりません。しかし、戦争や震災や貧困に直面しても、あるいはもっと大変な、逃れようのない何かにだって立ち向かっている人達の話を私から聞いてきた、と娘は言いました。苦難に立ち向かう人達と、微力ながらも何らかの支援をしようと私が接する度、むしろこちらが元気や勇気や希望をもらったという話を、そう言えば幾度となく娘にしていたかもしれません。
昨年は残宅勤務によって家族との会話が格段に増えました。私は家族との会話から、こんなことに負けるわけにはいかないと気持ちが奮い立ち、立ち向かう意欲が漲ったものです。
東京では本日(1月8日)緊急事態宣言が発出され、残念ながらまだまだ収束の光は見えませんが、その中でもたくさんの希望を見出しながら、必ず乗り越えていくと決意しています。

それでは、2021年の始動にあたり、今年のPFCの挑戦をいくつかお話したいと思います。

2021年の挑戦①:若手・新入社員向けプログラムの充実

コロナ禍の中の若手・新入社員教育は、雇用した企業のみならず社会の使命

コロナ禍で私達はこれまでとは大きく異なる働き方への対応を、好むと好まざるとに関わらず強いられることとなりました。多くの人は、新たに求められた働き方に適応しながらも、まだまだ不安や戸惑いの中にいることだろうと思います。しかし、少なくともコロナ禍前に社会人経験を踏めている以上、新入社員と比べるとまだましではないかと思います。コロナ禍の中はじめて社会に出て、極めて大きな不安を抱え、コロナ禍による変化によって最も大きな影響を受けているのが、新入社員ではないかと考えます。

ご承知のように多くの日本企業は、経験・スキルがない新卒者を一括採用し、企業の中で長期間かけて育成しています。しかし、昨年は3月に緊急事態宣言が発出されて、コロナ対策で人事部がてんてこ舞いの中すぐに4月を迎えたため、入社式も延期かオンライン実施に切り替わり、以降の研修も期間短縮かあるいは休止に追い込まれた企業も少なくありません。オンラインやE-Learningでの研修に切替えて実施した企業も、準備不足ということもあいまって、例年通りの教育効果を実現することができなかったという話もよく聞きました。そして、現場に配属されてOJTに入ってからは、ただでさえ上司がリモートで部下とコミュニケーションすることに慣れていないことから、新入社員は“放置状態”に置かれたといった声も聞こえてきました。

あらためて何等かの補足トレーニングを施し、精神面のケアをし離職を防ぐことや、必要な知識教育を行ってOJTの効果を最大限高めることなどが求められると思います。それでも、昨年の新入社員はまだマシです。もちろん、昨年の新入社員は、3月に緊急事態宣言が出て、卒業式や卒業旅行なども経験できなかったことは気の毒とは思います。しかし、今年(2021年)の新入社員達は、何よりあんなに楽しい学生生活そのものも1年以上にわたって奪われてしまった上、大きな不安を抱えるまま社会に出てくるのです。彼ら・彼女らに元気と勇気と希望を与えることは、企業のみならず、社会をあげての使命と言っても過言ではないのではないかと私達は考えています。

これまで私達PFCでは、リーダ―向け・マネジメント向けのサービスの提供が中心で、新入社員教育は積極的には提供してきませんでした。組織開発のご支援を生業とする私達にとっては、やはり、組織を変えていくには、リーダーやマネジメントへのアプローチがより大きなインパクトをもたらすと考え、フォーカスを当ててきたわけです。
しかし、上述したように、コロナ禍における新入社員教育は社会をあげての使命、即ち皆で知恵を絞って立ち向かうべき“社会課題“と捉え、私達も真正面からチャレンジしなければならないと考えました。

新入社員研修には、「新人の早期戦力化」という目的があり、さらに、「社会人としての意識づけ」「新入社員の結束の強化」「早期離職の防止」「組織への帰属意識の醸成」などさまざまな狙い(WHY)があります。新型コロナウイルス感染症の収束が不確定な状況ですから、提供方法(HOW)はもちろんオンラインでいかに効果的にできるかを追求することとなります。そして、最も重要なのは提供内容(WHAT)です。 Withコロナ時代の新入社員教育で今、特に強化して提供すべき内容は次の3つと私達は考え、新たなプログラムを提供することとしました

プログラムの詳細は、「C&M方式セルフリーダーシップ」を参照ください。

2021年の挑戦②:コロナ禍におけるチームの状態把握とチームづくりの促進

各人のメンタルヘルスチェックに留まらず、“共同体(ゲマインシャフト)”としてのチームアセスメントを

在宅勤務とリモートワークは、コロナ禍での働き方としてすっかり定着しました。今後もさらに増えこそすれ、減ることはないはずです。「昨年の経験で、ずいぶんと慣れた」という人は多く、さらに、不便どころか、むしろ自分の時間が有意義に使える、通勤がなくて楽になった、生産性や効率性が向上したなど利点の方が多い、従ってコロナ禍が収束してもこの働き方がデフォルトになっていくだろうと言う人も少なくはありません。

しかし、一方で、在宅勤務やリモートワークがマイナスの影響をもたらしている様子も聞こえてきます。在宅勤務やリモートワークに移行した当初は、生産性や効率性の問題がクローズアップされましたが、しかし、様々なテクノロジーの導入や環境の整備によって、今やそうした問題はおおかたクリアされたように見えます。従って、今耳にする課題は、生産性や効率性に直接関係する領域で起きていることではなく、必ずしもこれが問題だと明確に指摘できるわけではないがゆえに、あるいは、目に見えるほど劇的な変化ではなく、じわじわと精神面を蝕んでいくような現象であるがゆえに、非常にやっかいな問題に昇華したという印象を抱きます。

例えばあるクライアントからは、コールセンターのスタッフが在宅勤務になって、メンタルにまいっている人が劇的に増えたと聞きました。コールセンター業務などは、コロナ禍の前から対面ではなくいわばリモートで業務をこなすのが当たり前だったために、リモートワークや在宅勤務にいち早く対応できた業種の一つと考えていただけに、驚きました。聞けば、嫌な客の相手をした後に、憂さ晴らしでおしゃべりする同僚が傍にいないためではないかと推察されるということでした。


また、SIer業界では、昨年来メンタル面に問題を抱える人や離職者が急増しているということが、業界団体で話題になっていると耳にしました。SEは元々PCに向かって仕事している人たちだから、リアルだろうがリモートワークだろうがあまり影響はないのかと思っていましたが、そうでもないということです。SEはコロナ禍に最も対応しやすい業種の一つと考えていただけに、やはり驚きました。ちょっとした雑談すらできないことが大きなストレスを生んでいる原因ではないかと、今のところ考えられているようです。

思い返せば、昨年の3月以降多くの企業が導入したリモートワークシフトで、「全く問題ない(今まで会社に行っていたのが信じられない!)」という声も、「全くうまくいかない(早く元に戻らないと仕事にならない!)」という声も両方聞きましたが、これだけ両極端の反応が起きていたことに、大変興味深いと感じていました。この現象に対する私達の仮説は次の通りです。

“共同”体(ゲマインシャフト)と“機能”体(ゲゼルフシャフト)という概念で説明がつくのではないかということです。

「見えないもの」によって運営の機微が大いに影響を受ける“共同”体要素の領域でリモートワークは有効に機能しなかった、ということではないか、ということです。だから、「なかなかうまくいかない」という組織は、“共同”体要素の占める割合の大きい組織ではなかろうか。従って、リモートワークが「うまくいかない」という組織は、「目に見えない情報やつながり」が組織運営上重視な役割を果たす、 “共同”体(ゲマインシャフト)としての側面がより求められる組織で、一方、「全く問題ない」という組織は、“機能”体(ゲゼルフシャフト)としての側面が強く、「目に見えない情報やつながり」がそれほど必要と認識されていなかったということのではないか。

当たり前だけれども、ほとんどすべての組織は、“機能”体要素も“共同”体要素も両方を兼ね備えています。なので、一見「全く問題ない」「うまく機能している」と言っている組織も、 “機能”体要素の領域の運営では今のところ大きな問題は生じなかったというだけであって、“共同”体要素の領域はリモートワークでも今後問題が生じないことを証明できたわけではありません。時間が経つに従って、いずれ、“共同“体要素の領域で、これまでのように有効に機能しないことの“ツケ”が回ってくるということもあるのではないかと、危惧しています。

コロナ禍になってから、各人の「メンタル」の状況を明らかにするアセスメントは、世の中に溢れているように見えます。しかし、各人のメンタルの状況を詳らかにし、それを上司や人事が把握するだけでは不十分だと考えます。
そこで、この度、組織(=チーム)の状態を見える化することが必要だと考え、私達は「コロナ禍のチーム効果性調査(仮称)」を開発しました。コロナ禍の組織開発に悩む多くの組織のリーダーの皆さんに、自身のチームの現在の状況を詳らかにする術を提供しようと考えています。

プログラムの詳細は、「コロナ禍におけるチーム効果性調査+研修プログラム 無料説明会」をご参照ください。

2021年の挑戦③:新ビジョンに向けた活動の再始動へ

Social OD(ソーシャル組織開発)は、社会課題に向き合うことで組織をより強固に健全にすること

一昨年、私達ピープルフォーカス・コンサルティングは、2025年に向けた新たなビジョンを始動させました。「Social OD(ソーシャル組織開発)で経営、および人と組織の未来を切り拓く」というものです。
Social OD(ソーシャル組織開発)というのは私達の造語ですが、これまで広く様々な企業でご支援してきたOD(組織開発)をアップデートしたいと考えました。
OD(組織開発)の狙いは、「組織をより強固に健全に」というものでしたが、Social OD(ソーシャル組織開発)の狙いは、「社会をより強固に健全に」というものです。単に一つの組織・一つの企業のことを考えて組織開発に取り組むのでは、地球そのものが危ないという時代に、まったくもって足りないというのが基本的な問題意識です。社会全体を視野に入れた組織開発によってこそ、真に組織開発が進むという思いがあります。

しかし、昨年は、このビジョンに向かう活動に邁進することへの足止めを余儀なくされました。
例えば、10年以上に渡って続けてきたGIAリーダープログラムでは、一切海外渡航ができませんでした。グローバルな社会課題を自分ごととして捉え、自社事業を通じて解決を図るリーダーを育成するために、これまでスリランカやカンボジア等で行っていましたし、昨年はさらにザンビアにも舞台を広げて実施する予定でしたが、現地に出向くことは叶いませんでした。
あるいは、一昨年ウガンダで元こども兵に提供した「ライフスキル(生きる力)」のトレーニングも、ウガンダでのフォローアップを図り、さらに他のアフリカ・アジア諸国にも活動を拡げたいと考えていましたが、優先順位はコロナの感染対策等にあり、一旦足踏みをせざるを得なくなりました。

ただ一方で、奇しくも昨年2020年は、コロナ禍によって、社会の在りようやグローバル災害とは誰もが無縁ではいられない、企業活動や私達自身の生活に極めて大きな影響を与えるということを否が応にも思い知らされた年となりました。これまでは、企業のリーダーたるもの、グローバルな社会課題に目を向けそして「志をもって事業を通じてその解決を図るのだ」、という“啓蒙”にエネルギーを割くことが求められましたが、昨年を経験することによって、啓蒙の必要がなくなったという気さえしています。いきなりどうしたらよいかという具体論に、違和感なく入れるようになったようにも感じます。
SDGsの期限まで10年を切りました。今後コロナに打ち克った後は、気候変動をはじめとして、地球規模の様々な社会課題解決に私達は挑んでいかなければなりません。そのために必要な2020年だったと言えるのではないかと思います。

私達は、社会課題を事業を通じて解決に導けるリーダーの育成を通じて、山積する社会課題解決を促進したいと考えています。
GIAリーダー・プログラムは、残念ながら現地を訪問することはできなかったけれども、オンラインでの提供に切替え、現在カンボジアやザンビアと繋いで様々な人との対話を行っているところです。参加者の皆さんに感想を伺ってみると、「考えたこともないことを考える機会となり、大変刺激になった」「自身の中に眠っていた何かが起きた気がする」といった声が寄せられ、私達も、社会課題に向き合うことで人や組織を「より元気にできる」ことをあらためて実感しました。

中には、「自企業ではまだまだ目の前のことしか考えられていないかもしれない。SDGsは今やっていることと結びつけているだけ。組織に戻って何ができるか考えたい。」といった感想を寄せてくれた人もいました。参加者の皆さんが自企業・自組織に戻って影響力を発揮することで、社会課題解決が進むことを支援できる喜びを再確認しています。

Social OD(ソーシャル組織開発)が標榜する「社会をより強固に健全に」するというのは、つまるところ、「組織やリーダー達が“社会課題に向き合う”ことを促すことで、自組織がより“強固に健全になる”」、そして、「より“強固に健全になった”組織やリーダー達が取り組むことで、一層“社会課題の解決が進む”」というサイクルが回っていくことだと認識するに至っています。

本年も皆様と、組織開発・人材開発に関する様々な取り組みをご一緒させていただくことを、心より楽しみにしております。
皆様にとって、素晴らしい2021年になりますように。
引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。


(株)ピープルフォーカス・コンサルティング 
代表取締役 松村卓朗