人と組織のニューノーマル(新常態) ~Withウイルス時代の組織開発・人材開発の論点5「グローバル人材育成」のニューノーマル

海外渡航できなくなったグローバル人材育成の現場

Covid-19のパンデミックで海外渡航に大きな制限がかかり、当然のことながらどの企業でも、海外出張および海外赴任ができなくなった。

それに伴って、人材育成の現場でも、海外赴任前研修などは軒並みキャンセルとなった。グローバル人材育成研修なども、今はグローバルどころではない、目の前のことで必死だからと、多くの企業ではしばらく凍結となった。

私達も、これまで10年以上に渡って続けてきた「GIAリーダーの旅」研修での渡航を、今年は断念することにした。SDGsなどという言葉が現れるずっと前から、真のグローバル・リーダーとは“GIA”だという信念を持ち、一つの国や社会に対して本業を通じて何ができるかを考え抜く、異業種での海外実践研修を行ってきた。

GIAリーダーの旅は、毎年スリランカに赴いて行ってきたが、昨年は大きなテロに見舞われたため、急遽カンボジアに舞台を変えてまで実施し、毎年継続してきた火を消すことはなかった。今年も火を消したくない、何とか現地に赴けないかと模索してきたが、さすがにコロナ禍で海外渡航は断念せざるを得なかった。

しかし、コロナ禍を理由にグローバル人材育成を止めてよいのかという疑問が私たちの中に沸々と沸いた。むしろ、こうしてグローバルな社会課題が一人ひとりに多大な影響を与えることを誰もが実感し、国際社会が連携してグローバルな社会課題を解決しなければならないと考えるようになっている今こそ、GIAリーダーを育成することの重要性が増しているのではないかという気持ちが強くなった。そしてまた、オンラインでの研修提供にどの企業も抵抗がなくなってきたということもあって、「GIAリーダーの旅・オンライン」を実施することを決めた。

グローバルリーダー育成研修のオンライン実施のメリット

「GIAリーダーの旅・オンライン」研修は、もちろん現地に赴いての体験はできないものの、
①(出発前)“国内”セッション
②現地グローバル・リーダーとの対話
③自身の問題意識に則したフィールドワーク
④社会課題に対する本業を通じた解決策の提言・発表
⑤異業種間での交流の促進
など骨格となる組み立てと流れは踏襲することにした。

さらに研修の設計を進め、クライアントの皆様と会話していくにつれ、オンライン“ならでは”のメリットも追求できることに気づいた。即ち、以下のようなメリットだ。

海外に行く/出すのはハードルが高い人達にも、提供可能
例年、「関心はあるが、2週間仕事を休ませて海外に出すことはできない」と多くの人事担当者から言われてきたし、グローバル人材としてこれから育成していきたい人というより「2週間出すなら既にグローバル人材とみなされている人を出す」という矛盾もあった

複数ヶ国への“旅”が可能
物理的に旅していたときには、当然のことながら1ヶ国しか訪問できなかったが、オンライン研修では、複数ヶ国への、つまり世界中どこでもへのアクセスが可能だ。今年のプログラムでは、Phase1は全員一緒に学んだ後、Phase2ではカンボジア組とザンビア組とに分かれてバーチャル訪問することにしている。オンラインでインタビュー対話を実施し、互いの学びを共有する機会も設けている。国別の組に分かれず全員で行う予定の、現地で活躍するグローバル・リーダーとの対話の機会も、参加者の刺激を促すこれはという人にお願いし、国を問わず複数人・複数回設けた。

より多くの現地のキーパーソンにアポイント/接触可能
現地に赴いた場合は、滞在期間中に接触する必要があるので限りがあった。しかし、現地に赴かなければ期間の融通も利くし、オンラインでのミーティングのアポは比較的とりやすいので、より多くの現地の人との対話ができる。

ちなみに、あらためての説明になるが、“海外現地”研修となるPhase2は以下のA・Bの2つのパートから成っている。

A:カンボジア組・ザンビア組に分かれて、自分達でアポをとって現地の人達にインタビューし、自身のこの国の社会課題に対する問題意識を深め、本業を通じた解決策を考え抜く
B:全員で、世界各国で活躍するグローバル・エンゲージメント・リーダーと対話する機会を持ち、自身のリーダーシップ開発につなげる

プログラムの全体像は下図の通りだ。

グローバル人材育成の要諦はグローバル・エンゲージメント

これまで私達は、グローバル・リーダーの要素を定義(仮説)するとそれは“GIA”だと言ってきた。

言い方を変えてみれば、真のグローバル・リーダーとは、単に語学ができるというようなことではなく、異文化に対応できるということだけでもなく、「グローバル・エンゲージメント」、つまり、グローバルな社会課題にエンゲージできる人だと考えてきた。

エンゲージという言葉は、“婚約”が訳語だ。まさに、グローバルな社会課題に対して、“婚約”しているかのように、自分ごととして捉える、熱中して動ける、豊富な対話を持てる、といったことができるかどうかがカギだ。

一方、人材育成責任者・担当者とお話しすると、グローバル・エンゲージメントどころか、将来のリーダー候補ともあろう人達が視野狭窄に陥って、自社の課題どころか目の前のタスクをこなすことばかりに躍起になっていると嘆いている姿と出くわすことは多い。

とりわけ、コロナ禍の前は、「会社をあげてSDGsを啓蒙しようとしても、社員の反応は、“どこかの誰か”が取り組むことだという認識で、なかなか関心すら持ってくれない」と言う人は多かった。しかし、コロナ禍の今は、不謹慎かもしれないが、実はグローバル・エンゲージメントの意識を喚起する絶好の機会と捉えることができるのではないか。

先週、Phase 1(出発前“国内”のセッション)を終えた(この稿の執筆時点は12月1日)

Phase1では、グローバル・エンゲージメントを全編を貫くテーマとし、SDGsの考え方や、本業を通じて社会課題解決に取り組む意義、その方法論を学んできた。あるいは実践者をスピーカーとして呼んで、対話のセッションを持ってきた。

いよいよ今週からは、Phase2(“海外”セッション)に入る。

Phase2は、2つのパートから成ると言ったが、「カンボジア組・ザンビア組に分かれて、自分達でアポをとって現地の人達にインタビューし、自身の本業を通じたこの国の社会課題解決を考え抜く」パートは、もちろんメインパートとして、時間をかけて進めていく。

一方で、「全員で、グローバル・エンゲージメント・リーダーと対話する経験を持ち、自身のリーダーシップ開発につなげる」という機会の提供も充実させていく。

 以下の予定となっており、今週・来週は、以下の通り、セッションが目白押しの予定だ。

・12月4日(金)10:00~12:00 カンボジア・山勢さんとのセッション
(カンボジアでごみ山に暮らす人達を雇用してバナナペーパー事業を展開している。昨年、Forbsという雑誌からAsiaのunder30の30人に選ばれた。)

・12月9日(水)15:30~17:30 ウガンダ・小川さん/ジミーさんとのセッション
(ウガンダで元こども兵に対する職業訓練事業を展開している。昨年、筆者も現地を訪れてPFCのライフスキル研修を提供した)

・12月11日(金)15:30~17:30 ザンビア・ムタレさんとのセッション
(ザンビアで孤児院を運営している。最近は、『ストリートチルドレンを救う養育の働き』から一歩進めて、『子どもたちが、ストリートに出る事を防ぐ。目の前にある状況をチャンスに変える力を育む』事を目指した孤児のための学校を始めている。


オンラインセッションとなりますので、来年度以降の導入に向けての人材育成担当者様の参加枠を数枠ご用意しております。
見学をご希望の方はお気軽にpfc@peoplefocus.co.jpまでお問い合わせください。

実施中プログラムの概要等はこちらからご覧いただけます。
https://www.peoplefocusconsulting.com/giaonline/