人と組織のニューノーマル(新常態) ~Withウイルス時代の組織開発・人材開発の論点6「組織(=チーム)の状態調査」

在宅勤務やリモートワークに慣れた先のマイナスの影響

2020年の大晦日。東京の1日の新規感染者数がはじめて1000人を超える水準となり、新型コロナウイルスに翻弄された今年を象徴するかのように、大きな不安と共に1年が幕を閉じた。年が明けてからも、まだまだCovid-19のパンデミックは収束の気配がないどころか、緊急事態宣言が今週にも発出される予定である旨が報道されており、ウイルスと共にあるこの生活が今年も当面の間続くことを多くの人が覚悟していることだろう。
※原稿は2021年の年頭に書かれました。

在宅勤務とリモートワークは、コロナ禍での働き方としてすっかり定着した。今後もさらに増えこそすれ、減ることはないはずだ。「昨年の経験で、ずいぶんと慣れた」という人は多く、さらに、不便どころか、むしろ自分の時間が有意義に使える、生産性や効率性が向上したなど利点の方が多い、従ってコロナ禍が収束してもこの働き方がデフォルトになっていくだろうと言う人も少なくない。

しかし、一方で、在宅勤務やリモートワークがマイナスの影響をもたらしている様子も聞こえてくる。在宅勤務やリモートワークに移行した当初は、生産性や効率性の問題がクローズアップされたが、様々なテクノロジーの導入や環境の整備によって、今やそうした問題はおおかたクリアされたようだ。
今耳にする課題は、生産性や効率性などに直接関係する領域で起きることではなく、必ずしもこれが問題だと明確に指摘できるわけではないがゆえに、あるいは、目に見えるほど劇的な変化ではなく、じわじわと精神面を蝕んでいくような現象であるがゆえに、非常にやっかいな問題に昇華したという印象だ。

あるクライアントからは、コールセンターのスタッフが在宅勤務になって、メンタルにまいっている人が劇的に増えたと聞いた。嫌な客の相手をした後に、憂さ晴らしでおしゃべりする同僚が傍にいないためではないかということだった。コールセンターなどは、コロナ禍の前から対面ではなくいわばリモートで業務をこなすのが当たり前だったために、リモートワークや在宅勤務にいち早く対応できた業種の一つと考えていただけに、驚いた。

また、SIer業界では、メンタル不調者や離職者が急増しているということが、業界団体で話題になっているという。SEは元々PCに向かって仕事している人たちだから、リアルだろうがリモートワークだろうがあまり影響はないのかと思っていたが、そうでもないらしい。SEはコロナ禍に最も対応しやすい業種の一つと考えていただけに、やはり驚いた。SEに聞くと、ちょっとした雑談すらできないことが、大きなストレスを生んでいる原因ではないかという。

昨年秋に、ある企業のIT部門の社員対象にバーチャル研修を行ったところ、ある受講者が「同僚の顔を見たのは、コロナ以来、初めて(7か月ぶり)だ」と言った。ミーティングは日常行っているものの、回線の負荷等を考えいつも皆ビデオをオフにしているそうだ。こうしたことの影響の積み重ねは決して小さくないと考えるのは私達だけだろうか。

互いの姿が見えない中での組織運営

こういった問題が生じているある組織のトップに、今どんな対策をとっているか聞いたところ、「部長たちには部下と積極的にコミュニケーションをとるように」と伝えてある、との返事があった。そんなことだけでは組織運営を十分に機能させるまでには至らないだろうと思わざるを得なかった、というのがそれを聞いたときの正直な感想だ。しかし、実のところ、このトップにしても、互いの姿が見えない中での組織運営など初めての経験なのだから、どのようにしたらよいのか見当もつかないのだろう。まずは、部下とコミュニケーションをとって、誰がどのような状態なのかを把握することから始めよ、というのも、あながち全く的外れなアドバイスでもないようにも思えてきた。

そこで、この度、組織(=チーム)の状態を見える化することが必要だと考え、私達は「コロナ禍におけるチーム効果性調査(仮称)」を開発した。このようなことに悩む多くの組織のリーダーの皆さんに、自身のチームの現在の状況を詳らかにする術を提供しようと考えたのだ。

コロナ禍になってから、各人の「メンタル」の状況を明らかにするアセスメントは、世の中に溢れているように見える。それはそれで重要だけれども、しかし、各人のメンタルの状況を詳らかにし、それを上司が把握するだけでは不十分だと考えた。

第一に、メンタル的に大丈夫ということが分かったとして、マイナスではないということが分かっただけのことであり、それだけでは全く安心できるものではない。プラスにしていくためにはどうすればよいかの情報提供が必要だ。

第二に、メンタルの状況はその性質から秘匿性が高いものであり、基本的には人事や上司が把握するに留めるものだ。その情報をチームに共有して活かすことができない。先に見たように、例えば、「互いにちょっとした雑談を必要としている」といったことに気づくことが重要だが、そういった気づきを促せない。

第三に、各人の状況が分かるだけでは不十分で、チームそのものの状況が分かる情報が必要だ。効果的なチーム運営に誘うのは、ベクトル(ビジョンや目標)なのか、プロセス(仕事の進め方や役割分担)なのか、ヒューマン(モチベーションや連携)なのか。

「コロナ禍におけるチーム効果性調査(仮称)」の特長を紹介したい。

コロナ禍が続く中での「チーム効果性調査」

PFCでは、組織調査は「チーム」の単位で行うのが極めて有効と考え、様々な組織のチームを対象とした「チーム効果性調査」を行ってきた。 今回ご紹介する「コロナ禍におけるチーム効果性調査」は、この”有事版”である。以下のような点が特徴だ。

  1. コロナ禍においてチームが効果的であるための重要領域を把握できる
  2. コロナ禍による、メンバーの心境の変化が把握できる 
  3. 調査結果をもとに、コロナ禍におけるチームビルディングが効果的に図れる

コロナ禍のチーム効果性とは

コロナ禍におけるチームマネジメントでは、先に述べたメンタルのケアが重要であることは言うまでもない。さらに新常態の職場チームに進化していくためには、リモートワークによる自立的な働き方の促進、各人の役割や成果目標の明確化や全体像の見える化、メンバー間の心理的安全性やつながりも欠かせない。また、自身の仕事や事業の社会的な意義の再認識、といったこともますます重視されるようになってきている。新常態においてチームメンバーをチーム活動に巻き込むための要素と言い換えてもよい。

「コロナ禍におけるチーム効果性調査」はこういった要素を、ベクトル・プロセス・ヒューマンの3領域、21の質問項目に整理している。めざすべき新常態のチームの姿に対して、自チームの現状はどうであるか、メンバーの現状認識のフィードバック情報等が得られるのである。

メンバーの心境の変化

「コロナ禍におけるチーム効果性調査」の後半には、「コロナ禍によってどのような心境の変化があったか」を問う領域を設けている。感情を表す10のキーワードに対して、その感情の変化(「大いに増えた」から「大きく減った」の6段階)と理由を回答してもらう。

感情のキーワードは、「孤独」「不安」「苛立ち」といったネガティブな領域だけでなく、「やりがい」「元気」「癒し」といったポジティブな領域も含めた。コロナ禍で「不安」や「苛立ち」を感じつつも、同時に、コロナ禍だからこそ一層仕事に奮起し活力が上がっている、といった状態をも捉えるのが狙いである。

感情の変化の理由は、秘匿性を保ちつつ、調査結果を職場チームで扱いやすくするために、「物理的な環境」「職場の人間関係」「家庭の状況」といった項目の選択型とし、自ら書きたい人には自由記述ができるようにしている。

調査結果に基づくアクション

これまでPFCが行ってきた「チーム効果性調査」は、「チームリーダーが自身の職場チームをよりよくするためのフィードバック情報」という位置付けを貫いている。調査を行うにとどまらず、チームリーダーが調査結果を分析し、よりよい職場チームにするための策を練ることを重視してきた。

今回の「コロナ禍におけるチーム効果性調査」も、調査結果に基づいてよりよい職場チーム、ハイパフォーマンスチーム作りを行うための研修プログラムを開発中だ。具体的には、研修の場で結果を分析し、チーム活動の改善や、さらなる進化のためのアクションプランを作成して行く。これを職場に持ち帰り、新常態の職場チームに向けてチームビルディングを実行することになる(当然ながら、リモートワークのメンバーとオンラインで行うことを想定している)。


「コロナ禍におけるチーム効果性調査」と調査結果を元にした「チームリーダーシップ研修」は、2月末にリリース予定です。2月26日に無料オンライン説明会を行いますので、ご関心がある方はぜひお申し込みください。

説明会の詳細・お申込みはこちらからどうぞ。
「コロナ禍におけるチーム効果性調査+研修プログラム」説明会