バーチャル・ファシリテーターから学ぶ各種オンライン機能の活用

先日、バーチャルで開かれたある会社のグローバル会議に参加した。終わった時には皆、一様に疲れた表情をしていた。通信トラブルで開始が大幅に遅れた上に途中で何度か途切れたことなども一因だが、オンライン機能を十分に使いこなせていないことによって生じた、会議中の次のような現象が大きな要因であることは明らかだった。皆さんの周りで似たようなことは起こっていないだろうか。

・ビデオ:
日本側は、会議室に複数人で座り遠くから画面を見ているので、一人ひとりの表情はよく見えない。一方、各国から参加した部長の顔は1画面にひとりずつ、大きく映し出されている。ある国の部長の画面には、会議中何度も部下が入ってきてやり取りをしている様子まで鮮明に映っていた。

・マイク:
ファシリテーターは日本の会議室にいたので、会議室にいる人には良く聞こえていたようだったが、ファシリテーターの声がオンライン越しにはっきりとは聞きとれないことが多かった。また、自宅から参加したある部長のマイクからは、終始生活音が聞こえていた。

・ホワイトボード:
会議の目的は、ある案件に対するアイデア出しだった。アイデアは発言によって共有されるのみだったので、常に集中して聞いていなければならなかった。自分の意見を声高に長々と主張する人もいる一方、最後までまったく発言せずに会議を終える人もいた。上述した何度も部下とやりとりしていた部長は会議に集中できていない様子で、一度も発言はなく、会議への貢献は皆無だった。

上記のようなことを少しでも防ぐために、本稿では、<オンライン機能>の活用に焦点を当て、バーチャル会議ならではのTIPS(コツやヒント)を具体的にいくつか紹介しておこう。

1)<基本機能>の活用⇒グランドルールを設ける

一人ひとりが会議に効果的に貢献できる環境を作るために、ビデオやマイクなどの基本機能を確認する際にグラウンドルールも設けるとよい。例えば以下のようなものだ。そうすることにより、バーチャル会議でも、互いがフラットな関係で運営できる。
・全員が一人1画面で会議に参加し、ビデオをオンにする
・発言しない時は、マイクをミュートにする
・トラブルが起きたときは助けあう

2)<マイク機能>の活用⇒発言の仕方にルールを設ける

会議での参加者の発言は、通常の会議以上に制御しにくい。そこで、予め次のようなルールを設けておくのが有効だ。
・発言の最初に「○○です」と名乗り、終わったら「以上です」と締めくくる
・他の人が発言している時は、相槌や笑いなど声は控える(発言が聞こえにくくなってしまうため)
・合意や同意は声を出す代わりに、映像で見えるようにボディランゲージを多用

3)<ビデオ機能>の活用⇒ボディランゲージの多用を推奨する

ファシリテーター自身も心がける必要があるが、メンバーにも、ボディランゲージの多用を推奨するとよい。バーチャル会議では、表情の細かな変化までは見えにくく、反応がよく分からないことが多い。そこで、大きなジェスチャーで感情を表現するよう、アドバイスしておくのが効果的だ。拍手をする(音は鳴らないように)、手で丸を作る、いいねのポーズをする、手を振る、などで反応を示してもらうようにするのだ。物理的に離れていても、参加者たちは一体感を感じやすくなるだろう。

4)<ホワイトボード機能>の活用⇒議論の見える化で参画意識を高める

バーチャル会議においては、会話だけのやりとりでの議論では集中力の維持が難しいので、議論の見える化の必要性はリアル会議以上だ。ファシリテーターがパワーポイント等を自分のパソコンで立ち上げ、その画面を参加者に共有し、参加者の発言を整理しながら書き留めることは必須だ。
Zoomをはじめとしたサービスに実装されているホワイトボード機能を使うのも有効だ。ホワイトボード上には、参加者自身がそれぞれのコメントを同時に書き込めるものも多い。メンバーの会議への参加姿勢が最初は受け身だったとしても、書き込みや編集を自分の手を使って行うことで、参画意識を高めていくこともできる。

5)<チャット機能>の活用⇒説明等の最中でも、質問やコメントの書き込みを奨励する

リアル会議にはない、バーチャル会議ならではの機能と言えるのがチャット機能だ。普段の会議では発言しにくいようなこともチャットなら言えるという参加者もいるだろう。説明やプレゼンの最中でも、どんどん質問やコメントを書き込んでもらうことだ。
ただ、チャットひとつ書き込むにも序列を気にする会社もあると聞いた時はがっかりした。普段の会議でも生産性を阻害しているであろうこれらの要因は、これを機に取っ払うのがよいだろう。「誤字脱字は気にしなくて良い」などの独自のルールを作ったり、「3分間で書き込もう」と時間を区切って書き込みによる参画や反応を促すのも良いだろう。また、書き込み後のファシリテーターの処理を円滑にするために、質問には「質問:」と付けてもらうのが鉄則だ。
ちなみにチャットで上がった質問やコメントなどは、全てリアルタイムに対応しなければならないわけではない。議論が一段落したところで時間をとって、全員で目を通したり、「こういう質問が来ていますが〇〇さんどうでしょうか」のように投げかけるのがよいだろう。

6)<ブレイクアウトルーム機能>の活用⇒時折小グループ討議を行う

議論の活性化や創造化を追求する一方で、参加人数の多い会議において、すべての参加者に発言をしてもらうのは難しい。通常の会議では、全体をいくつかの少人数に分けてグループ討議を行うことがあるが、バーチャル会議でもブレイクアウトルーム機能を活用することで同じように実施することが可能だ。
ただ、対面の会議と同様、一度グループ討議に分かれてしまうと、ファシリテーターによるコントロールは難しくなる。それぞれのグループの様子を確認したり、サポートをタイムリーに行ったりすることも頻繁にはできなくなる。そこで、グループに分かれる前に議題とアウトプットイメージを明確に伝えることが重要だ。ブレイクアウトルームのホワイトボードに、予め議題を書いて設定しておくことが望ましい。また、各グループでグループファシリテーターの役割を決めておくことも有効だ。

山口 真宏(PFCアカウント・コーディネーター)


ピープルフォーカス・コンサルティング(PFC)では以前から、リモートワークによって必要となる、バーチャル・コミュニケーション、バーチャル・チームの運営、あるいはバーチャル・ワークにおけるリーダーシップのあり方などについて研究を重ね、そのための研修プログラムを国内外の大手企業を中心に提供してきました。

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