リモートワーク(テレワーク)時代のリーダーシップ〜管理職があるべき姿は?

リーダーシップ発揮のキーワードは「心理的安全性」

 今回の感染症対策で、急にリモートワークする部下を持つようになったリーダーや管理職の皆さんの中には、不安や戸惑い、焦りが募っている人も多いと思う。
「部下はちゃんと働いているのだろうか?」
「一人ひとりの仕事をどのように管理すればよいのだろうか?」
「各メンバーの面倒をどのくらいみて、モチベーションをどうやって保てばよいのだろうか?」
など悩みはつきないだろう。

 一方、部下の側もまた不安や戸惑いを感じているはずだ。まずは、この不安や戸惑いを取り除くことが、リーダーの重要な責務である。 

 ここでキーワードのひとつとなるのが「心理的安全性(psychological safety)」だ。近年、職場におけるチームの研究を行ってきたGoogleが、データ分析の末にたどり着いた、リーダーに求める唯一無二の概念として、世間の注目を集めた。

「心理的安全生」とは、「チームのメンバーが、安心して対人的なリスクを取れるという、暗黙の共通認識をもっている状態」とされている。他者の反応におびえたり羞恥心を感じることなく、自然体の自分をさらけ出すことのできる環境や雰囲気からもたらされる心理状態だ。

 では、リモートワークが始まったばかりのメンバー達の不安や戸惑いを取り除き、心理的安全性を高めながら、効果的なリーダーシップを発揮するためにはどうしたらいいのか。私たちは、次のっ3つのことに留意することが、とりわけ重要と考える。

管理職やリーダーの心得1:少ない接点でのポジティブなコミュニケーションを意識する

 管理職やリーダーの皆さんは、通常どんな時にリモートワークを行うメンバーに連絡をとっているだろうか。接点が少ないからといって、たわいもない世間話をするためだけにわざわざ連絡する人はいない。問題が生じたときをはじめとして、“何かあった”ときに連絡する人がほとんどではないか。

 これはもちろん、対面での業務活動でも同じだったはずで、その頃から特別何か変えたつもりはないだろう。しかし、対面で業務活動を行っていた時は、日頃顔を合わせる中で、メンバーをねぎらったり、鼓舞したり、結果的にモチベーションを高めることができる機会は多かった。意識するとしないに関わらず、戒めると褒める、叱咤と激励、ネガティブとポジティブのバランスを取ることができているという人は少なくない。

 一方、そうした日常的なコミュニケーション機会のないリモートワークの状態では、下手をすればネガティブな情報にコミュニケーションが偏ってしまいがちだ。それではメンバーは委縮してしまう。離れた場所で孤独も増す中で、不安も戸惑いもむしろ倍加してしまう。そうならないように、リーダーは、少なくなった接点だからこそ、意識的にポジティブな言葉を投げかけて、メンバーのモチベーションを維持することがこれまで以上に大切である。

管理職やリーダーの心得2:デジタル空間での参画しやすい環境づくりを進める

 リーダーは、デジタル空間ならではの参画しやすい環境づくりにも努めなければならない。デジタル空間ならではの環境づくりというのは、例えば、情報発信のハードルを下げることだ。SNS上では今、必ずしも文章が書けなくても、コミュニケーションが活発になされている。写真や動画だけで投稿もできる、リツイートやシェアだけで情報を発信できる、「いいね」ボタンを押すだけで参画できるなど、意思表示と情報発信のハードルが下がり、どんどん気軽になっている。デジタル空間でも、十分に“雑談”が行われていると言えよう。

 しかし、企業組織の中では、いまだにテキストによるきちんとしたコミュニケーションが主流だ。だから、バーチャルな環境では情報発信側に回れない人も出てくる。雑談やブレストの時間にきちんとした言語能力が求められると、チャットの流れに乗れないこともある。デジタルツールでログが残ることも、メリットばかりではない。共有したいけれど、自信が持てないので残したくはないという話を聞くこともある。

 リーダーは、そのような状況に対処しつつ、心理的安全性のある場を作り、円滑で開かれたコミュニケーションに気を配る必要がある。一定時間で投稿が消える機能なども使いながら、雑談をサポートし、好き勝手言い合える場を作る工夫も求められる。

管理職やリーダーの心得3:リモート会議ツールを自ら駆使する

 そのためには、リーダー自身が、バーチャル会議等のツールを率先して使いこなす必要がある。テクノロジーは日々進化しているが、資料共有、録画、チャット、「いいね」など、機能を存分に活用すれば、互いの距離を感じさせないように工夫することが可能だ。そして、ミーティングの生産性も劇的に高めることができる。

 バーチャル会議等のツールは、今後、パワーポイントやエクセルなどと同じように、リーダーが当たり前のように使いこなすツールとなるだろう。かつてパソコンルが導入された頃と同じだ。その操作を部下に頼りきって、Eメールひとつ書くために常に誰かがて傍にいなければいけなかった年配の役職者が、当時若手社員から冷たい目で見られていたのを思い出す。今回自分たちが決してそうなってはならない。ITに詳しいメンバーに設定や操作を任せるのではなく、リーダー自らが使いこなさなければいけない。

 ある企業で、バーチャル会議があるのでそのためにオフィスに行くと言っていたリーダーがいたが、こんな本末転倒な話はない。

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