スポーツを通じたアフリカへの国際貢献(1)

【サッカーから学ぶ組織開発・人材開発:松村卓朗】第89回:スポーツを通じたアフリカへの国際貢献(1) ~ウガンダでプロサッカーチームを経営する大場由太さん~ 

2020年、いよいよ日本で東京オリンピックが開かれる年を迎えた。この機にオリンピック憲章を見直してみたが、そこには、近代オリンピックの創始者クーベルタンが提唱したとされるオリンピック精神が明快に書かれてあった。「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍などさまざまな差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」というものだ。オリンピックの使命は世界平和にあることを、あらためて認識する機会となった。

先月、アフリカの2ヶ国を訪れた。ウガンダとザンビアだ。 私は初めて訪れる国に着くと、タクシードライバーなどに、まず、この国の人気のスポーツを聞くことにしているが、両国とも「サッカーだ」と即答された。 昨年は「GIAリーダーの旅」でカンボジアに行き、本田圭佑選手が運営するプロサッカーチーム、SOLTILOを訪ねたが(記事は下記サイト参照)、実は、本田圭佑選手がプロサッカーチームを運営している国がもう1ヶ国ある。ウガンダだ。

ウガンダで、オーナーである本田圭佑氏からSOLTILO Bright Stars FCの経営を任されている27歳のゼネラルマネージャー大場由太さんは、昨年12月のインタビュー記事で次のように語っている。「サッカーを通して世界を平和に」したいという想いを胸に日々奮闘している様子が綴られていた。
(出所:https://all-about-africa.com/masaya-ohba1/

「オーナーである本田圭佑氏が、アフリカに興味を持ったのが2010年の南アフリカワールドカップの時で、孤児院にいく機会がありました。その孤児院で、子ども達とふれあって、話を聞くうちに、理不尽に機会に恵まれなかったりとか、夢を失った子ども達が多いので、自分が育ってきたサッカーで、何か役に立てないかなと考えたそうなんです。
ウガンダだと、政府系の団体や警察、そして都庁的なところがクラブを持っていることが多く、中には刑務所が経営しているところもあるんですよ。」

「サッカーを通して人格形成とか、グループの帰属意識を持てる。精神的な支えというか実は衣食住のボトムにある必要とされているものって、アフリカではサッカー、スポーツなんです。
特に日本ではスポーツは娯楽のイメージがかなり強い。“衣食住”の更に更に上の方にあるものと思われてる。でもアフリカでのスポーツの意義ってそうじゃなくて、それこそ難民の子ども達が夢とか敗れて未来の希望がもてなくて絶望している。でもそこでサッカーは出来る。
クラブ運営もそうですけど、もうひとつ、“サッカーを通して子ども達に夢と希望を与えたい”というのが会社として大目標にあり、その手段としてクラブ経営をやっているので、もっとお金があつまれば定期的に難民キャンプにいって、サッカー教室とか開いて、うちのアカデミーの入団試験受けてもらったりとか、難民の子ども達の中から将来的に、うちのブライトスターズの選手になったという実例が一つでも出来れば、またそこから変わってくると思うんですよね。
社会的に一番下にいるとされる難民の子ども達が、プロとしてトップに立つっていうそんなプロセスをもっと明確化して作れればいいなって思ってます。そうやって各国の難民キャンプの子ども達がサッカーを通して、ブライトスターズ経由でJリーグとかヨーロッパリーグとかに行ってもらえれば。サッカーって技術と努力次第で、才能ひとつでどれだけでもお金を掴める世界なので、その才能の発掘と育成というのは、腰を据えてやりたいなって思ってます。」

「開発援助」と言うと、産業の発展やインフラの整備、食料・医療援助が連想されるが、近年、「心の栄養」と称して、スポーツの普及もこの範疇に入れられるようになってきている。人はどんな貧困下に置かれようとも、娯楽を楽しむべき存在であるとの考え方がその活動を後押ししている。日本では、JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊が、その活動の一部としてスポーツの普及活動を世界各地で行っていることを、今回のアフリカへの訪問で私も知った。次回、今回の旅で知った何人かを取り上げてレポートしたい。