働き方改革は2.0へ

2019年8月6日、HRプレミアムフォーラムにおいて、PFC代表の松村卓朗が「働き方改革2.0~働き方改革のカギと具体的な進め方~」のテーマでお話をさせていただきました。
今回の記事ではその講演内容の要旨をお届けします。
※「HRプレミアムフォーラム」は、人事部門の課長クラス以上の方々を対象に、各テーマの著名人や大手企業の人事キーパーソン、業界をリードするソリューション提供企業から、先進的な取り組みや課題解決策を学ぶ、半日完結型のフォーラムです。

働き方改革は、2.0へ

各社で、働き方改革の取り組みを進めているはずだ。1年前の講演のときは、働き方改革に着手していない企業も少なくなかったが、今は何らかの取組みをしていない企業はもうほとんどないと思う。しかし、取り組みの弊害や新たな課題も生じているのではないか。
そこで、働き方改革は、(取り組みを始めるのがフェーズ1とすると)「フェーズ2」に移行する必要があるのではないか、というのが我々の問題意識だ。
働き方改革の弊害や新たな課題というのは、例えば、「現場の混乱」。サイボウズのポスターで有名になったが、「結果出せ」おじさんと「早く帰れ」おじさんのどちらの言うことを聞けばよいのか。
取り組みの弊害が、「マネジャーの疲弊」という形で表れることも少なくない。マネジャーがスキルを学んでいるわけでも、急に能力が上がるわけではないのに、何とかしろとムチャぶりされる、マネジャーにしわ寄せがいくパターンだ。
さらに、働き方改革によってむしろ「生産性低下」を招いた話も耳にする。最近よく聞くのが、テレワークやリモートワーク導入後の不満だ。
ある会社では、これまで職場で仕事をしている時は、どんな仕事を何件どのくらいの時間でやるか、なんて聞かれたことがなかったのに、オリンピック対策のために強制的にテレワークすることになった瞬間、細かく勤務開始時間とやる内容を事前事後で報告することを義務付けられた。かえって生産性が落ちるし、面倒なのでテレワークする気がなくなり、会社に出てきていると言う。

働き方改革2.0に求められる「ソフト面」の変革

こうした企業で共通しているのは、ソフト面の変革の必要性の認識が欠けていることだ。
働き方改革も「変革」である以上、変革の成果をあげるには、変革の進め方に今一度立ち戻ることが有益だ。どのような変革でも、「(主要)3分野に取り組む」ことが欠かせない。すなわち、ハード面の改革(人事制度、労務規則、等)、プロセス面の改革(テクノロジー導入などによる、業務プロセス改革、等)、そして、ソフト面の改革(社員の意識、行動の変化、等)だ。
働き方改革においても、うまく進んでいない組織では、ハード面やプロセス面の取り組みに終始し、ソフト面の取り組みをおろそかにしている場合が少なくない。
フト面の改革の進め方は5つのステップにまとめられる。どのステップも重要だが、ここでは、働き方改革において、多くの企業の認識が足りていないと思われる、ステップ1とステップ4を取り上げたい。

働き方改革先進企業では、「目的」が極めて明確

ソフト面の変革の進め方において押さえるべき5つのステップのうち、1つ目のカギは、第1ステップにある。働き方改革先進企業では、WHAT・WHY・HOWが極めて明確なのだ。
-WHAT:働き方を改革して、将来どんな組織になろうとしているか
-WHY:そもそも、なんのために、働き方改革に取り組むのか
-HOW:どこに手をつけ、改革をどのように進めるのか(例えば、長時間労働を引き起こす原因となる社内の仕組みや慣習が特定されているか) とりわけ、働き方改革先進企業では、極めて明快な目的を示している。 

  • 「イノベーションの創出を加速化させること」(リクルート)
  • (従業員が自分の)「生き方を決めること」(ユニリーバ・ジャパン)
  • 生産性倍増(日本電産)

焦点がしぼられていて、何もかもやろうとしていない。だからぶれないし、社員の混乱も招かない。
働き方改革について多くの企業が相談に訪れる、という企業で働く知人が嘆いていた。「WHYを聞いても明確に返ってこない。」 皆さんの企業での働き方改革のWHYは明確だろうか。

働き方改革には、マネジャーの「マネジメント能力向上」が必須

2つ目のカギは、第4ステップ「変革の遂行ケイパビリティを向上させる」だ。言い変えれば、働き方改革という変革を【実現するための能力】の向上だ。
働き方改革を進める上での懸念を聞くと、「マネジメント難度上昇への懸念」が上位に挙がる。この懸念へは、まだまだきちんと対応できていない、つまり、マネジメントスキル強化を図れていない企業は多い。そもそも、ほとんどの企業は、マネジメントスキル強化の重要性をそこまで認識していない。以前の講演でも、「働き方改革を真に成功させるために、“マネジメントスキル強化が必要”という視点は持っていなかった」と多くの人に言われた。
しかし、どんなにハードやプロセスの改革を進めても、特にマネジャーのマネジメントスキルが向上しないと、働き方改革は絶対に成果は出ない。現場のマネジャー一人ひとりのマネジメントが機能しないと、社員の生産性は上がらないし、早く帰れるようにもならないのだ。
そして、実際問題、現場で最も苦しんでいるように見えるのが中間管理職だ。「メンバーに残業させてはいけない」しかし「質は落とすわけにはいかない」の板挟みになって、自分が一番忙しくなっているケースも散見される。
ただ、逆に考えれば、スキル向上で大きな成果も期待できる領域だとも言えよう。

働き方改革に求められる、具体的なマネジメントスキルは2つ

では、マネジャー層に必要なのは、具体的にはどのようなマネジメントスキルなのだろうか。 働き方改革に求められるのは、次の2つのスキルだ。

  1. マネジメント(指示と支援)のスキル:シチュエーショナル・リーダーシップII(SLII(R))
  2. 会議運営のスキル:ファシリテーション

部下が生産性高く作業し、残業もせずに質の高いアウトプットを生むには、まずもって、上司の指示の出し方がカギとなる。仕事の任せ方と言ってもよい。
また、どういう状況の部下には、どのようにどの程度支援するか、も重要なスキルとして身につける必要がある。指示と支援のバランスと言ってもよい。
しかし、多くのマネジャーは、こうしたことを十分に学んでおらず、スキルとして身につけていない。その結果、「丸投げ」か、あるいは「マイクロマネジメント」に陥ってしまっている。

一方、会議運営のスキルも、働き方改革には欠かせない。多くの人が少なくない業務時間を会議に費やしているが、生産性はいかほどか。 会議を効率的に運営し、そして、会議を通じて効果的なアウトプットを導き出すことは、マネジャーの重要な役割の一つだろう。

日本電産の取り組み事例

果敢なM&Aなどにより業績を拡大させてきた日本電産(株)も、本腰を入れて働き方改革に取り組んできた。30年以上、年に1日しか休まなかったあの永守さんが「働き方改革」を率先しているとのことで、世間からも大きな注目を浴びた。目標は、生産性を倍増し、「2020年度までに残業ゼロ実現」 すること。目標達成に向けて、業務プロセス改革などの取り組みに加え、重視しているのが、マネジャーのマネジメント力向上だ。
具体的には、ファシリテーションスキルを身に着けることにより会議運営力向上と、そして、シチュエーショナル・リーダーシップII(以下SLII(R))をテコにしたマネジメント(指示と支援)力のスキル向上に注力している。
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SLII(R)は、米国のケン・ブランチャード社によって長年にわたり実証されたリーダーシップ研修プログラムであり、世界中の企業で500万人以上に及ぶマネジャー達がSLII(R)モデルを活用しています。PFCは日本におけるプログラムの唯一の代理販売を行っています。 多くのマネジャーは自分が好む1つのリーダーシップスタイルで全ての人々や状況に対応しようとしていますが、マネジャーがメンバーに対し、必要なときに必要な指示と支援を提供できるようになれば、メンバーの成長が速まり、生産性高く情熱溢れる職場環境が生まれます。

働き方改革に関するハンドブックを差し上げています。詳しくはpfc@peoplefocus.co.jpまでお問い合わせください。