第28回資本主義の教養学講演会

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<第28回公開講演会の概要>

日 時:2019年2月15日(金)19:00-21:00(開場18:40)

会 場:東京大学 本郷キャンパス/東洋文化研究所 3F大会議室
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演 題: 宇沢弘文の思想~資本主義に代わる社会システム

要 旨:
経済学者・宇沢弘文は、資本主義を批判し、「社会的共通資本の理論」と呼ばれる新しい経済思想を樹立した。社会的共通資本とは、環境・インフラ・医療制度・教育制度など市民の生活に欠かすことのできない基盤的装置のこと。これらは市民の基本的人権に関わるため、市場取引に委ねることが許されない。宇沢は、社会的共通資本の整備・管理・制御を通じて、豊かで幸せな社会を造るべきだと訴えた。
宇沢は経済学の研究の末、「資本主義には本源的な不安定性がある」と考えるに至った。したがって、市場への介入と管理は不可欠となる。しかし、政府や官僚がその役割を担うのは適切でない。宇沢はその役割を専門家の集団に期待する。そして、社会的共通資本の適切な運営を通じて、資本主義の不安定性を是正することを提唱したのである。
宇沢のこのような思想は、一見、理想主義的すぎるように見えるが、今世紀には現実味を帯びてきている。例えば、インターネットは、巨大な社会的共通資本として機能している側面がある。現在、インターネットを通じて、経済も社会も大きな変革の渦中にある。
経済理論の方も今世紀に至って、新しい段階に入りつつある。前世紀の経済学が前提とした、「経済主体の超越的な合理性」は実験によって否定され、経済行動の背後の性向・動機が見直されつつある。これらの観察と整合的な理論が模索され、構築が試みられている。
この講演では、宇沢の思想を軸に、今後の経済社会をうらない、最新の経済理論を展望する。

講演者:
小島寛之 (帝京大学 教授)

東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学 。経済学博士。現在、帝京大学経済学部経済学科教授。数学エッセイストとしても活躍。
主な著書に『文系のための数学教室』『数学でつまずくのはなぜか』(ともに講談社現代新書)、『数学入門』『使える!確率的思考』『使える!経済学の考え方』(以上、ちくま新書)、『数学的思考の技術』(ベスト新書)、『天才ガロアの発想力』(技術評論社)、『世界は2乗でできている』『確率を攻略する』(ともに講談社ブルーバックス)、『宇沢弘文の数学』(青土社)、『暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論』(講談社選書メチエ)などがある