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ソーシャル・アントレプレナーのための思考フレーム(チェルシー・リン)

chelseyデザインシンキングは、2005年にスタンフォード大学に創設されたd.schoolが提唱したことにより世に広まりました。このd.schoolに1年間在籍したPFCコーディネーターのチェルシー・リンの記事をお届けします。

デザインシンキングは、もともとは、ソーシャル・アントレプレナーのための思考フレームとして生まれたものです。現代の複雑化・巨大化した社会の中で課題を解決 するためには、4つのステークホルダー、すなわち政府や公共セクター、ビジネス界や投資家、NPOやNGO、そして市民が効果的に協業していく必要がありますが、ソーシャル・アントレプレナーはその4つを結び付け、効果的に協業させる存在であり、そのためのスキルとしてデザインシンキングが活用されています。日本では新しい思考フレームとして注目を集めていますが、もともとはすべてのステークホルダーをWINに導きながら社会課題を解決するためのツールなのです。

デザインシンキングは、ビジネス界単体、もしくは政府×NPOの二者などでは解決しきれない課題、あるいは明確な答えがない課題に立ち向かう際に力を発揮します。 アントレプレナー自身は、協業に必要なすべての情報や知識を持っているわけではありませんが、答えが見えない問いに対しても、ユーザーの立場に立つことで的確に課 題を設定し、仮説やアイデアを出し、試作し、利用者にフィードバックをもらう。このプロセスを素早く行ない、何十回も繰り返すことで、成果物を研ぎ澄ましていくことができるのです。

「理解から検証に至る5つのプロ セスを素早く回していく」ことは、「相手の靴を履く」*と共に、デザインシンキングの特徴 のひとつです。 たとえば、d.schoolの授業で取り組んだ課題の一つに「目の見えない人の転落 事故を防止する」というのがあり、 たった5分間で100個の解決策を考えました。これは思考の枠を外さなければできないことです。正解はありません。とにかくスピードが勝負。出てきたアイデアを具 体化し、プロトタイプを作り、ユー ザーに検証してもらうというプロセスの中で、どんどんアイデアの枠が外れ、ユーザーに最も必要なものへと研ぎ澄まされていきます。英語では“out of the box”と呼んでいますがこれからの企業に必要なスキルのひとつと言えるのではないでしょうか。

*デザインシンキングをワークショップに取り入れた株式会社資生堂の事例