恵比寿ソーシャル映画祭vol.18「女を修理する男」((映画鑑賞×トークセッション)レポート

2018年5月22日に恵比寿ソーシャル映画祭vol.18「女を修理する男」(映画鑑賞×トークセッション)が開催されました。今回の映画は国内上映のためにクラウドファンディングが行われるなど話題となった作品で、平日の夜にも関わらず多くの方が会場に足を運んでくださいました。開催直前にも「1時間ですけどまだ申し込みできますか?」という問い合わせがあり、これがこの映画がもつ力なのだと感じました。

映画「女を修理する男」は、コンゴ民主共和国出身の婦人科医、人権活動家デニ・ムクウェゲの姿を追ったドキュメンタリーです。ムクウェゲ医師は第2次コンゴ内戦以来続く戦禍の中でレイプ被害にあった数多くの女性を治療し、彼女たちの精神的なケアと啓発活動にも人生を投じた事が評価され、幾度もノーベル平和賞候補にもなっています。作品の中では、被害にあった女性のインタビューや、被害にあった女の子を手術する風景も上映され、参加者の中にはあまりに悲惨な状況に目を覆う場面も度々見受けられました。また、この被害の背景にあるのは単なる性的な目的でなく、紛争鉱物の奪うための手段として女性が利用されている説明があり、女性の人権が軽んじられていることに憤りを感じざるをえません。

このような現状を知ると絶望的な気持ちになりますが、映画の最後には被害にあった女性たちがまた立ち上がり夢や希望をもって歩みだす様子も収められており、辛い出来事も乗り越えて進んでいく逞しい女性の姿に勇気づけられます。

トークセッションで話をしていただいたジョイセフ小野さん

トークセッションで話をしていただいたジョイセフ小野さん

映画鑑賞後には、国際協力NGOジョイセフの小野美智代さんをゲストに招いたトークセッションを開催しました。トークセッションでは、参加者が各々映画の感想を共有したのですが、多様なバックグラウンドの参加者がいたことで、映画に対する見方を広げる機会となりました。書き出すときりがありませんが、特に印象に残ったコメントを3つ以下に共有します。

・映画の中で、1歳にも満たない女の子が被害に遭い手術を行う場面があるが、これはそうることでエイズが治るとアフリカの呪術で信じられているから。日本では信じられないことだが、この現実を受け止めきちんとした教育を広めていく必要がある。
・ムクウェゲ医師に出会えた女性は幸運だが、それ以外にも苦しんでいる女性は沢山いる。その女性をを救うためにはもっと医師が必要だが、トランプ大統領の体制になってからは寄付がどんどんと減らされており、寄付が途絶えたために生活が苦しくなりアフリカから帰国した医師もいる。このような現状ももっと多くの人に知ってもらう必要がある。
・映画の現状については怒りを感じた。怒りというのは全てが悪いのではなく、大きなエネルギーにもなる。今回の感じた怒りをエネルギーに変えて、自分でも出来ることに活かしていきたい。

当初、国を超えて世界が繋がりつつあるのに、世界に存在する様々な社会課題には目が向けられていない現状に対し、少しでも目を向けるきっかけを作りたいと考え、私は映画祭を始めました。そのため、今回のような作品に出会い上映が出来たことは、原点を思い出すという意味で思い出深い作品になりました。

次回、6月18日vol.19では難民問題をテーマにしたコメディ映画「はじめてのおもてなし」の上映を予定しております。「特定非営利活動法人 難民を助ける会」をゲストに迎えたトークセッションも予定していますので、難民問題について全く知らない方も少しでもご興味あればこの機会にぜひご参加ください。