続・グローバル基準でリーダーシップを診断するサヴィル・アセスメント(山田奈緒子)

サヴィル・アセスメントをご紹介した先々月の記事に対して、「もっと知りたい」というお問い合わせやご質問、パイロット実施のご相談などを数多くいただきました。グローバル・スタンダードで信頼性の高いアセスメントを実現するツールとして、サヴィル・アセスメントへの関心が高いことを実感しました。

前回の記事では、サヴィル・アセスメントの基本的な特徴として、
* “才能”と“動機”から、現在の「能力」を客観的にアセスメントできる
* 他のツールと比較して「完成度」が最も高く、納得が得られる
* 活用方法が「多様」で、タレントマネジメントの様々な局面で使える
といった点をご紹介しました。

今回はもう少し突っ込んで、このツールから得られる2つの興味深い分析すなわち
1)才能と動機の整合性
2)ノーマティブ(自由選択)・イプサティブ(順位選択)の整合性

についてご紹介したいと思います。

私自身、複数の心理ツールの認定トレーナーでありますが、この2点は、自身の能力についてより深い洞察を得ることのできるサヴィル・アセスメントならではの特徴だと感じています。

1)才能と動機の整合性:動機が高く才能が低い場合に有効な取り組みは?

前回ご紹介したとおり、サヴィル・アセスメントは能力を「”才能”と”動機”のコンビネーション」として測定します。一つずつみていきましょう。

まず才能(Talent)では、いかに自分がその領域に長けているかの自己認識が問われます。アセスメントのWeb画面には、例えば次のような質問があります。

* 私は説得力がある
* 私は物事を興すことが得意だ
* 私は数値データを扱うことが得意だ

他方、動機(Motive)の方はというと、自身のニーズ、要求、願望、好みの傾向、やる気を駆り立てられる要因は何か、といったことに関する設問となり、Web画面の質問例は次のようなものです。

* 私はとても成功したい
* 私はチームの一員として働くことを楽しむ
* 私は学ぶ機会があるとやる気になる

さて、サヴィル・アセスメントが測定する36のコンピテンシーの中には、この”才能”と”動機”の間に乖離があるものが出てきます。具体的には、「才能は低いが動機が高いもの」、あるいはその逆で「才能は高いが動機が低いもの」といった具合です。乖離が一定以上大きいコンピテンシーについて、サヴィル・アセスメントの結果レポートは「T-Mスプリット:Talent(才能)とMotivation(動機)の乖離」というサインを出してくれます。

結果レポートの一例を見ながらご説明しましょう。

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この方のレポートでは、「抽象的傾向」というコンピテンシーにおいて「7」という結果がでていますが、その内訳は動機(M)が10と極めて高く、一方で才能(T)は4であり、「T-Mスプリット:Talent(才能)とMotivation(動機)の乖離」というサインが出ています。

このサインは、自身の現状と今後の能力開発に大きなヒントを与えてくれます。たとえば、次世代リーダー対象のリーダーシップ・プログラムでサヴィル・アセスメントを使った場合、20代から30代前半ぐらいの次世代リーダーのサヴィル・レポートにはT-Mスプリットのマーク、とりわけ上記サンプルに示すような、M(動機)の方がT(才能)より高い項目がたくさん出る傾向があります。動機が高い項目は本人の関心事項であり、今後意欲的に取り組めて成長しやすい領域です。才能すなわち、経験を積み習熟していくためにどのような仕事(OJT:On the Job Training)機会が必要かを検討することが重要となってきます。

OJT機会の検討には、サヴィルのコンピテンシーの構成要素がヒントを与えてくれます。先ほどのレポートをもう一度見てみましょう。

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「抽象化傾向」は
・「コンセプトを作り出すことが得意である」
・「理論をよく適用する」
・「基本的な原則を学習することに興味がある」
の3つから構成されています。これらは、わかりやすく、説得力のある提案や企画を生み出すために重要な思考能力です。この人がさらにこの能力を伸ばそうとするならば、例えば問題解決や新規の提案等の場面、あるいは企画書を作成する過程において、上司や先輩と意見交換をしたり、自身の考えに対するフィードバックを得ることが、成長のために必要な機会となるでしょう。

 

2)自由選択型(ノーマティブ)・順位選択型(イプサティブ)の整合性:能力への過信や自己評価の低さも測れる

サヴィル・アセスメントの回答時間は約40分ですが、回答の仕方によって質問が変化していき、回答時間が短くなったり、長くなったりします。これはオンラインアセスメントならではの機能です。具体的に見ていきましょう。

サヴィル・アセスメントの質問項目は、以下の2種から構成されています。
1)「自由選択型」(ノーマティブ):程度について数値で回答する
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2)「順位選択型」(イプサティブ):「この4つの選択肢の中で、もっとも自分に適しているものはどれですか?反対に、最も自分に適していないものはどれですか?」といった質問に対して順位で回答する
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サヴィル・アセスメントにおいて、「自由選択型」の設問に対して「どちらかというとそうである」という回答をし続けていると「順位選択型」の質問が自動的に現れるようになっています。つまり、メリハリのない回答が続くと、強制的にどれかを選ぶように、という質問が現れ、回答所要時間が長くなるという、オンラインアセスメントならではの優れた機能が搭載されているのです。

当然ながら、順位選択型が何度も出てくるとか、回答時間が長いということ自体に良し悪しは全くありません。ただ、自身の回答傾向、つまりこのI-N(Ipsative-Normative)スプリットからもまた、このマークが出たコンピテンシーについて、洞察を得ることができます。

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上記のサンプルは、諍いを治める力(いわゆる「コンフリクト・マネジメント」)というコンピテンシーについて、自由選択型(N)の時の回答スコアの方が、順位選択型(I)よりも高いサンプルケースです。自由選択の時は高く自己評価するが、どれかを選ばねばならないストレス下におかれる順位選択(I)だと自己評価が低くなる。ここから得られる示唆は、「この能力について過信しているかもしれない」です。

反対に、順位選択型(I)の方が高くなるケースもあります。これは、平時の自己評価よりも、ストレスがかかった有事において高く自己評価するという現象です。「火事場の馬鹿力よろしく、いざとなったら出てくるかもしれない」「本来は力があるのに、自己評価が低い、自信がなさそうに周囲に見えるかもしれない」という示唆となります。

I-Nスプリットは、そのいずれが高いケースでも、そのコンピテンシーの発揮が不安定であることを示唆しています。新たな役職についたばかりである、異動や転職の直後である、仕事環境が大きく変わった、といったタイミングで、このI-Nスプリットが出やすくなる傾向があります。

 

サヴィルにはフィードバックコーチングが不可欠

組織・人材開発に携わる方にはもう当たり前のことですが、サヴィル・アセスメントも他のツールと同様、人の能力を決めつけることが目的ではなく、現状を把握するためのスナップショットとしての情報を提供し、今後の成長を促進することを目的としたツールです。サヴィル・アセスメントは、36のコンピテンシーの水準のみならず、今回ご紹介したT-M(才能と動機)スプリット、I-N(順位選択と自由選択)スプリットなど、成長支援のためのヒントや深い洞察を提供してくれます。

PFCでは、サヴィル・アセスメントのレポートのみの提供はしておりません。必ず、サヴィルの認定を受けたコーチによるワン・オン・ワン(1対1)のフィードックコーチングと共に、レポートを提供しています。認定コーチはアセスメント結果の読み解きを支援し、レポートから得られる示唆を情報提供しながら、ご本人の内省とさらなる成長に向けた計画づくりを支援します。

サヴィル・アセスメントについて詳しくお知りになりたい方はお気軽にpfc@peoplefocus.co.jpまでお問い合わせください。
(ピープルフォーカス・コンサルティング取締役:山田奈緒子)