【ジャンゴのちょっといい話:田岡純一】現代組織の持つ課題とティール組織

taoka_new今日は最近読んだ書籍「ティール組織-マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 」から、感じた組織の在り方や課題について紹介したいと思います。

<そもそもティール組織とは>

時代が変わればそれに応じた適切な組織のモデルも変わる。次世代型組織のモデルとしてフレデリック・ラルーが提唱したのが「ティール組織」。原著は「Reinventing organizations」、2018年1月に日本語版が発行されました。

”ティール:teal”とは色の名前です。これはケン・ウィルバーのインテグラル理論の中で提唱されている意識のスペクトラムに準拠しています。

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本書における人類のパラダイムと組織の発達段階

組織が誕生した最初の段階がREDです。そして組織は意識の発展段階に応じ、適した組織の形態が変化していきます。

1つ目の組織は“RED”。

“RED”は、紀元前10000年前くらいに生まれた形態で、トップの力によって群れるオオカミの群れのような組織です。組織運営の特徴としては、特定の個人の力によって支配的に運営するスタイルです。長い目で先の見通しを立てる必要はないので、極めて短期的な思考が優位にはたらきます。

2つ目は、“AMBER”(琥珀)。

“AMBER”は、紀元前4000年くらい前に生まれた形態で、厳格な上意下意の指揮命令系統な軍隊のような組織です。組織運営の特徴としては、上意下達で厳格な社会的階級に基づくヒエラルキーによって情報管理を行い、指示命令系統が明確な状態で運営するスタイルです。未来は過去の繰り返し、変化や競争を好まない安定性があります。レッド組織よりも時間軸が長く、長期的な展望や計画を重視します。

3つ目は、“ORANGE”。

“ORANGE”は、14世紀くらいに生まれた形態で、ピラミット型で機械のような組織である。変化に適応し、目標達成のための予測と管理のマネジメントの論理があります。組織運営の特徴としては、琥珀組織のような厳格な社会的階級でなく、社長や従業員等のヒエラルキーを持ち、成果をあげた従業員が評価され、出世することができる運営スタイルです。琥珀組織に比べ、変化を受け容れ、競争も可能となりイノベーションが生まれやすくなります。ただ変化と競争に打ち勝ち生き残ることが求められ、結果数値によりマネジメントも重視され、まるで機械のように働くことが生じ、人間としての幸せとは何かを問いかける、原点回帰が生まれるきっかえにもなります。

4つ目は、“GREEN”。

“GREEN”は、18世紀くらいに生まれた形態で、伝統的なピラミッド型組織の形態を取りながらも、組織文化の向上とエンパワーメントに焦点を当てて、従業員の多様性の尊重や高いモチベーションを生み出している家族のような組織です。オレンジ組織のように機械的な働き方ではなく、より人間らしく生まれ持った主体性が発揮されたり、個々人の多様性が尊重されるような組織を目指す運営スタイルです。ただ多様な意見を尊重し合うがあまり、合意形成に時間がかかりすぎたり、また合意が形成されない場合はトップに意思決定を委ねるケースも生じます。ただオレンジ組織に比べ、意見も言いやすく風通しの良い組織運営が可能となります。

5つ目は、“TEAL”。

“TEAL”は、1970年ころから生まれた形態で、ピラミッド型組織ではなく、CEO・経営陣と多くのチーム、サークルからなる組織である。これは、信頼で結びつき、組織の進化の目的に沿って活動するというものです。組織が目的に応じて進化するので、生命体のような存在として比喩されます。社長や管理職からの指示命令系統はなく、組織の進化する目的を実現するためにメンバー全員が信頼に基づき、独自のルールや制度を工夫しながら、組織運営するスタイルです。

ティール組織の3つのブレイクスルー

1.Evolutionary Purpose:進化する組織の目的

ティール組織では組織自体を誰か特定の(社長や株主)人物の所有物ではなく、1つの生命体としてとらえています。生き物は生きる目的をもっているのと同様に、組織が生きていくために目的を有しているという発想が根底にあります。また生き続ける中で目的も進化していくのでこのような表現が使われています。世界をより良くするための企業の存在目的を進化させ続け、人々の行動は組織の進化する目的によって導かれます。

2.Self-management:セルフマネジメント

上からの指示命令ではなく、自己組織化と自己管理によって、様々な変化に柔軟にかつスピーディーに対応する。
このスタイルを実現するために以下の3点を工夫し、メンバー全員が真に主体的に関わる状態を目指します。

  • 情報の透明化
  • 意思決定プロセスの権限移譲(個人の意思決定を尊重しながらも、他のメンバーからのフィードバックも参照しながら進める)
  • 人事プロセスの明確化(人財マネジメントのプロセスが独自に明確化されており、社長や役員等からの個人的圧力が及びにくい構造)

セルフマネジメントの例として、人体はおよそ37兆個の細胞から構成されていますが、CEOや管理職にあたるものは一つもありません。何かに躓きころんで足をすりむいたとき、足の表皮細胞は何かの指示を待つことはありません。その時の状況に合わせて適切に対処します。また目的を持って移動する渡り鳥も自然環境や仲間の状況を察知しながら、飛行速度や距離間、先頭を飛ぶ順番の交代等を主体的に調整しながら飛行しています。

3.Wholeness:全体性

個人の人間としての全体性を職場で表現することで、個人の尊厳が重んじられ、学習と成長が図られます。
個人の能力が最大限発揮できることや、不安や弱さに寄り添い合えることが大事になってきます。

<ティール組織に注目が集まる理由とは>

現在の組織がVUCAの時代に十分に対応しきれておらず不満を持っている方が多いのが背景にあります。2013年のギャラップの調査では、従業員の13%しか現在の組織にエンゲージしていなというデータがあります。
一方でこの書籍で紹介されている12社は、大きな成果をあげています。その特徴を具体例を交え紹介することで、組織の在り方に関して多くの示唆を与えています。

<現代組織の持つ課題>

本書の中では多くの現代組織の在り方を「達成型組織」という言葉で定義しています。この組織の在り方はビジネスの結果に意識を強く置いてしまうがために、マイナスの副作用を生んでしまっているという指摘です。

1.恐れ(やばい感)による動機づけで疲弊してしまう

「少しでも油断すると競合に出し抜かれてしまう、世の中の変化への対応が遅れたら大変なことになる」といった恐れです。この恐れによって動機づけられ、結果生存することつまり売上、利益を確保することに追われて仕事をするようになります。

2.自分らしさの発揮が難しい

達成型の組織では、明確な役割が与えられその役割を全うするための能力開発、評価、昇進等が行われます。
組織の中でより高い業績達成を目指すプロセスの中で本人も組織も向上していきます。しかしそこにも副作用が存在するとの指摘があります。それは組織で求められる部分だけを発揮し、それ以外は蓋をしてしまうことで本来の力を十分に発揮できていない点です。逆に会社が求めていることに合わせようとするあまり本来の自分を見失ってしまう。これが原因で元気を無くし、精神的に疲弊してしまう点を指摘しています。

<課題解決に向けて>

上記のようなマイナスの副作用を解消するヒントがティール組織における3つのブレイクスルーです。

進化する組織の目的

達成型組織では、自社が生き残ることを目的に置き、社員を動機づけていました。一方ティール組織では、自社がどんな役割を果たすために存在しているのか「存在目的」を重視し、その目的のために個々人が何が貢献できるかを問う形で動機づけます。
実際の組織も表向きにはこのような表現をして組織も確かに存在しますが、実態が伴っていないケースが多いようです。

セルフマネジメント

組織の目的、個人の使命を考えている社員が思ったことをアイディアとして出し、それをトライし、結果を共有し、仲間に助言を求めさらにトライしていくプロセスを通して、多くの人財と交流し、より最適なテーマにより最適な責任者を見つけ、よりつながりやコラボレーションを生み出しながら進んでいきます。

全体性

達成型組織では、仕事の業績に直接関係する部分しかフォーカスを当てない傾向があります。一方ティール組織では職場のその人を取り巻く多くの要因にも関心を寄せることで心理的安全を高めます。結果日々の職場での出来事に対しても全人格をもって取り組むことで、本当の自分に対する理解も他者に対する理解も深まってきます。

<最後に>

ティール組織は一度読んだだけでは、私にとってはなかなか理解が難しく、また本当にこんな組織が実現可能なのだろうかと思ってしまう点も確かにあります。しかしながら現在の組織の課題と向き合い、今後の組織の在り方や自分自身の働き方に多くの示唆を与えてくれました。是非皆さんも一度ティール組織について考えてみてはいかがでしょうか。組織とは、人生とは、仕事とはといった点であらたな気づきや学びが得られることと思います。