中国拠点での現地化の成功には本社の意識改革が欠かせない(安田太郎)

yasudat皆さんの会社では、海外拠点の現地化は順調に進んでいるでしょうか?

ある日本企業の中国拠点での話です。中国人をトップに任命したところ、数か月で退職してしまったということがありました。
「私はこの会社のトップを目指し日々努力をし、ようやくトップになることができた。とても感謝している。でも前任の日本人トップのような仕事が私にはできないことがよくわかった。それは、日本本社とのコミュニケーションだ。何をどうやって進めればよいのか、複雑怪奇すぎて全くわからない」
というのが退職された方のコメントだったそうです。

あるいは、新人事制度を導入し実力主義にした別の企業では、当初、ほとんどの社員が「これで、日本本社に気に入られているだけの実力のない古株社員は降格されるだろう」と期待していたそうです。ところが、蓋を開けてみると、降格どころか、その古株社員のために新たな部門を作られ、彼が部門長に就任。実は、この古株の社員は本社経営幹部のお気に入りであり、本社幹部が上海出張の度に一緒に食事をする仲で、中国子会社に出向している日本人社長が、「忖度」し、この古株社員を残すことになったようです。せっかく実力主義をうたった人事制度でしたが、社員の信頼は地に落ち、制度の運用ができなくなったということでした。

また、別の企業で、優秀な中国人社員に対して日本本社で1年の実務研修に参加させようとしていたところ、職場の受け入れ態勢が整っていない、コストを持つことができない、など各部門からの反対にあい、一時的に頓挫。関係する役員からトップダウンで指示してもらい数ヶ月後に何とか実現に動き出したということもありました。

これらに共通しているのが、日本本社または本社との関係性が、中国拠点での現地化の阻害要因になっているということです。

中国市場のニーズを正確にかつスピーディーに把握し対応するためには、現地に深く入り込み、中国語を駆使しながら、人的ネットワークを構築が不可欠で、日本人駐在員による開拓には限界があります。優秀な中国人社員に責任ある役割を担ってもらい、組織をリードしてもらうことが欠かせないのです。しかし、実力主義で公平な組織文化を構築しなければ、優秀な人材が残らない、また採用できないというのが現状です。

現地化を進めるため、日本企業は、
– 各職務の役割を明確にし、
– 役割の大きさに応じた報酬を与え、
– 成果を出すための権限、教育を施し、一人ひとりの成長、組織の成長を目指すことが必要で、それらの実現には、日本本社の意識改革、積極的な取り組みが欠かせません。

皆さんの会社の中国拠点では順調に現地化が進んでいるでしょうか?