「営業現場が疲弊している・・・」その背景には何があるのか?(亀田啓一郎)

kameda2先日、ある営業部長からこのようなご相談を頂いた。
「決して現場は、サボっているわけではない」
「忙しくしているのに、業績は低迷している・・・」
「ただ、もう少し優先順位の付け方はあるはずだが・・・」
「デキナイ人ほど、効率の悪い仕事に振り回されている」
「営業マネージャーまでもが、『現場は疲弊している』とメンバーの代弁者になってしまう・・・」

営業現場にも意見を聞いてみると、次のようなコメントが噴出してくる。
「優先順位って言われても、組織が定める基準なんてどこにもないですよ」
「数字が足りないから、あれやれ、これやれと指示がくるわけですが、お問合せと既存顧客の対応で精一杯ですよ・・・」

これは、営業方針というベクトルが、トップと現場でそろっていない典型的な症状だ。

このような時は、同意するのでも、否定するのでもなく、まずは感情面を受け止めるのが大切だ。
一方、起きている事実は冷静に見つめ、マネジメント側が一体となって議論をし尽くし、本当に注力すべき事を決めなくてはなない。本当に注力すべきことが見え、その根拠が明確になれば、自ずと捨てる基準は見えてくる。

一例をあげよう。
大型受注になりそうでも、技術スタッフなどのリソースが不足して対応できない案件があるとする。
でも、営業担当としては、大切な担当顧客からのお問合せには全力で対応しようとする。
ましてや、営業目標数字が足りないとなると、なんでも飛びついてしまうのが、営業現場の心理状態である。

この場合、解決策として考えうるひとつが「どんな案件にリソースを投入するのかを明確にする」ことだ。
端的に言えば、営業戦略を明確に定義し直す、ということだ。ただ、これが難しい。
特に「リソースを割かない」ということは、現場には受け入れがたいことだ。
「本当にいいんですか!これまで、多くの取引を頂いているのに!」
「競合会社からリプレイスができる、いいチャンスなのに!」
「じゃあ、何を売って数字を稼げと言うんだ!」
と、猛反発がくる。

このような営業現場の感情の受け止め方を間違うと、トップ・ミドル・現場の人間関係がこじれてしまう。
ミドルが現場の感情論に配慮するあまり、現場に迎合的になったり、逆にマネジメント側がメンバーを排除するようなコミュニケーションが起こり、更に症状が悪化する。
例えば、
・ミドルが現場側に付いてしまい、トップが孤立する
・トップとミドルがギクシャクしていて、「決める」ためのコミュニケーションがしんどくなって止めてしまう
・現場からの異論反論があっても、筋道を通して説明し、動機づけるメッセージを描くところまで、方針を煎じ詰めることができない
・戦略的観点よりも、現場ウケの観点から意思決定する
などなど。

上記のケースで言えば、マネジメント層が、きちんとリソース配分について方向性を示すことが欠かせない。
現場が疲弊するのは、決めるべき役割のマネジメント層が、健全な意思決定プロセスを踏むことができず放置しているからである。
その要因としては、マネジメント層の戦略的な思考スキルの問題よりも、組織内でうごめく感情面への対応力、すなわちEQスキルによる場合が多い。

皆さまの職場でも心あたりはないだろうか。

このような場合の処方箋は、まずはマネジメント層での「関係の質」を改善することに尽きる。
我々プロジェクトプロデュースがファシリテーターとして入る場合も、営業のトップとミドルマネージャー間で、感情面、論理面を切り分けて、しかも双方とも場に出し合う事ができる、安心で安全で健全に語り合う場を設ける事に時間をかける。

マネジメント層の気持ちと考え方と言葉がそろうと、最前線の営業メンバーにまでベクトルが伝わり、営業組織がチームになるのである。

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亀田啓一郎が代表を務めるプロジェクトプロデュースでは、PFCのグループ会社として、営業現場での組織開発課題を中心にサービスを提供しています。詳しいワークショップの内容にご興味のある方は、フォームよりお問い合わせください。