営業戦略をシンプルに考える!(亀田啓一郎)

kameda2先日、ある営業担当の執行役員からこのようなご相談をいただいた。

「下期の営業戦略を各営業所で作成するようにとオーダーしたところ、どこかのマーケティング講座でもらったフォーマットに、びっちり書かれたレポートが何枚も提出されてきてね。結局、何がやりたいのかがよくわからんのだ・・・」
「いろんなフレームワークを埋めていくと、戦略が見えてくると思ってるのかな?」
「ちゃんと、自分たちのマーケット感を踏まえた営業戦略を立てることができる幹部を育てたいんだけど、どうしたらいいかな?」

営業プレイヤーとして優秀な成績を収めていたので、営業マネージャーに抜擢した。
今後、部長クラスを目指してほしいので、戦略的な視点も身に付けて欲しい。
ところが、「営業戦略を策定せよ」というと、フリーズしてしまう・・・
私は、営業強化をテーマにした案件を数多くやってきたが、このようなお悩みをもっておられる経営者はかなり多いと思う。

このような場合、私の持論はこうだ。
本当に優秀なプレイヤーだった人は、実は営業戦略的な観点をすでに持っている。
その内在化している知見を、シンプルでわかりやすいキーワードで引き出すことで、自身が持つ戦略的なセンスに気づくことができる。

では、「営業戦略」を、シンプルでわかりやすいキーワードで表現するとどうなるか。
それは、自分が有する営業資源(ヒト・モノ・カネ)を投下する対象を、以下の3つ要素で表現する事だと伝えている。
「何を(商品・サービス)」×「どこに(対象顧客)」×「どのように売るか(営業手法)」
この3つをアウトプットしろ!と言われると、ピンとくる場合が多い。

実際には、現場の営業部門では、主力商品が決まっている場合が多い。
となると、パラメータ(変数)はたったの2つだ。

今回のご相談のケースは、まさに次の2点を営業マネージャーの方々に集まってもらい、アウトプットしてもらう営業マネージャー研修を行うことにした。

  1. 営業対象となる顧客をどこに絞るか?
  2. その対象顧客に、どのように売るのか?

2つ目の「どのように」の部分もシンプルに、次の2点で表現してもらうことにしている。

  • 自社の商品やサービスの特徴をどのように活かして、顧客のどのようなニーズを満たすのか?
  • 自社の商品やサービスの特徴をどのように活かして、競合との違いを出すのか?

本当に営業戦略的な観点を持っている人かどうかは、上記の「1.対象顧客をどこに絞るか?」をテーマにしたワークをするとすぐわかる。
買ってくれる可能性が高い“お客様の検索ワード”が、バンバンでてくるのである。
その検索ワードを、マーケティング用語では、ターゲット・セグメンテーション軸という。

今回のケースではないが、わかりやすい別の例で説明すると、

Q. 冬、街中を巡回しながら、「ガスファンヒーター」をすぐ買ってくれそうなお客様を見つけるには、どこに着目するといいか?
まさに、対象顧客を絞り込む、検索ワードを問う質問だ。

単に根性論、精神論で売ってきた人ではなく、考えながら戦略的なセンスを磨いてきた人は、
「そりゃあ、灯油のポリタンクが玄関先に置いてある家だよねー」
「特に、お年寄りの洗濯物が干してあったりしたら、かなり購入確率は高いよ」
と言ったキーワードが、間髪入れずに出てくるのである。

なぜ、そのキーワードなのか?と聞けば、
「ほぼ確実に現在、石油ストーブを使っているわけだよね」
「石油ストーブに比べて、ガスファンヒーターは、灯油を入れ替える手間もなければ、火災や一酸化炭素中毒になるリスクも低いわけだし、特にお年寄りの方は面倒だと思っているはずなんだ」
という感じで、顧客にとっての利便性や競合差別化になるキーワードが出てくる。

このような感じでキーワードを整理して、先ほどの3つの観点でまとめていけば、それは立派な営業戦略になるのである。
実際にこの会社でも、教科書的なきれいな言葉はなくなり、現実のマーケット感あふれる表現になり、ご相談いただいた執行役員の方も、これなら営業シーンが浮かんでくると納得されていた。

このような営業マネージャー研修をすることのメリットは、もう一つある。
それは、“営業戦略的な観点を持っていなかったマネージャー”にも、そのナレッジが伝わることである。特に、対象顧客の絞り込みは、極めて重要な要素である。「戦略」とは、戦(いくさ)を、略すると書く。
売れない営業メンバーの最大の特徴は、“そもそも売れない相手に、営業エネルギーを費やしてしまうこと”だ。
そうなってしまうのは、戦わない相手と、戦うべき相手を、その営業メンバーにとってわかりやすいシンプルな言葉で伝えていないマネージャーの責任である。
営業マネージャー間で営業戦略を語る言葉がそろうと、最前線の営業メンバーにまでベクトルが伝わり、営業組織がチームになるのである。

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