グローバル人材に必須の“英語を話す”力を高める唯一の方法(テストのウォッシュバック効果)~グローバル組織開発コラム(2)

(このコラムでは、グローバル組織開発に関する身近な話題を提供していきます。PFCのコンサルタントが不規則に担当します。)

第1回『ダイバーシティを推進する日本企業の現在地』はこちら

第2回:グローバル人材に必須の“英語を話す”力を高める唯一の方法(テストのウォッシュバック効果)(松村卓朗)

matsu_seminarクライアントからのグローバル人材やリーダー育成の相談に乗り、意見交換をを終え、一通りプログラムのイメージが湧いたといったことを言っていただいて一息ついた後、必ず、英語力の話題になる。
いわく、「ところで、こうしたプログラムへの参加者には、どの程度の英語力が求められるのか」「英語力にばらつきがあっても、プログラムの進行や参加者の学びに支障はないか」といったことから始まって、「どのようにすれば短期間で英語力をつけさせることができるか」「会社はどのような支援をすればよいか」、そして、「あなたはどうやって英語力を鍛えているか」等々。
そもそも英語力向上のトレーニングプログラムなど、会社に用意してもらうものではないと私は考える。会社がそのようなトレーニングをいくら用意していても、全く身についていない企業の現場に数多く出くわしてきた。気づきを得ることや、考え方やスキルを身につけることは、トレーニングをきっかけにできることは多い。しかし、必要性がない中で、漫然とやっていても、語学力が身に着くわけはないのだ。人に用意してもらったものではどこか本気度が足りない。このことは自分自身の体験から言い切れる。
私自身、英語力向上には日々苦労しながら取り組んでいる最中なので、大きなことは言えない。しかし、最近、「皆が英語が話せるようになる唯一の方法」によって、数年後には「日本人の若い人達の多くが本当に話せるようになっている」社会が到来していると唱える人に出会った。大変興味深いと思ったので、今号のコラムで紹介したい。

彼によれば、「皆が英語が話せるようになる唯一の方法」とは、受験英語だと言う。受験英語なら、我々もその道を通ってきて、あんなに一生懸命勉強したのに全く話せるようになっていないので、むしろ諸悪の根源とされることが多いのではないかと思う。
しかし、だからこそ受験を変えることが有効なのだ。2020年に、センター試験をはじめとする大学受験制度において、「戦後最大」とまで言われる大改革が行われることはご存じだろうか。国の政策から変わるということだ。受験から遠のいて数十年も経つと、受験制度の改革などにはとんと無関心になるので、私も全く知らなかった。
それは、英語の「4技能化」試験が始まるということだ。「4技能」とは、即ち、言うまでもなく、聞く・話す・読む・書くだ。
テストのウォッシュバック効果という言葉を聞いたことがあるだろうか。なぜ我々の多くが、学生時代に英語を学んでいながらも、話せるようにはならなかったのか。それは、一言で言えば、テストで「話せる」ことが問われなかったからである。逆に言えば、話せるようにするには、受験を変えればいいのだ。受験を変えれば、当然皆必死になって勉強のあり方を変える。それがウォッシュバック効果だ。2020年以降に大学に入る世代の子供達は、4つの技能を身に着けていないと受験に受からないので、4つの技能を必死になって伸ばし、だから間違いなく話せるようになっているはずだ。やがて企業には、そうした若い人達が入ってくる、というより、そうした人達が普通になっているということだ。

しかし、スピーキングなど、受験でどうやって測るのだろう。実は、調べてみると、もう既に、世界の主要大学のほとんどが2技能試験(読む・書く)の使用を廃止していると聞く。調べてはいないが、世界のトップ100大学のうち、4技能で行っていないのは2大学しかないのだという話も聞いた。その2大学とは、東大と京大ということらしい。
既にスピーキング力を測れる具体的な方法が確立しているということだ。しばらく受けていなかったので知らなかったが、TOEICも既に4技能アセスメントになっているというし、英検も今年(2017年)より4技能スコア型に移行するという。
知人の韓国人からも、韓国では、財閥企業の入社テストでは英語でのスピーキング力を問うていると聞いた。だから皆話せるようになるよう必死になる。スピーキングテストの準備は、スピーキング力を高める勉強しかありえない。社員に英語で話すようになってほしければ、スピーキング力を問うに尽きる。
コロンブスの卵のような話しだが、多くの企業にとっても示唆に富む話しなのではないか。何のことはない、組織開発の手法の基本の一つだ。アセスメントを変える。指導と評価の一体化を図るということだ。

(松村卓朗)