【組織開発の現場から】眠っていたコンピテンシーで女性たちが甦った!(山田奈緒子)

DSC_0650A_山田B「彼女(部下)に、喜んで店長のタスキを渡したいと思います」
大手流通企業A社での、女性を中心としたダイバーシティ推進プロジェクト。最終日の「卒業式」での男性上司のこの一言に、ぐっと来ました。
A社では、1年にわたって店長候補、副店長候補の女性社員とその上司(主に男性)を対象としたアクション・ラーニングを取り入れたワークショップ形式でプロジェクトを進めてきました。

女性社員向けには、ダイバーシティの考え方等はもちろん、キャリア開発のワークショップや、店長として必要なリーダーシップ開発研修なども行なう一方、上司には、部下の女性を店長として育成するために必要なマインドセット、考え方、スキルなどを伝えたり、お互いの育成過程を話し合ってもらうセッションを実施。上司と女性社員が店舗のダイバーシティ組織への風土改革をテーマにして、直接話し合うワークショップも複数回実施して、大きな成果をあげました。

実は、当初PFCが受けた相談は「女性店長育成のためのアセスメントツールを作ってください」というものでした。しかし、お話を伺ってみると、すでに立派なコンピテンシーやIDP(能力開発プラン)があるが、「使いづらい」という理由で眠っていた。これらを活用してマイノリティ育成ができるようになることこそ、真のダイバーシティ推進だと考えた私は、まずはこのコンピテンシーを使えるものにすることを考えました。具体的には、360度調査の質問項目に落とし込み、上司、本人、部下、同僚から、現状のコンピテンシーに関するフィードバックをもらうことにしました。
その後、フィードバック調査の結果をもとに、既存の能力開発の枠組みを使用して、上司と話し合ってもらいながら、女性社員が自身の能力開発プランを作成し、目標とする期日までに能力開発を行うためのOJTプランを工夫してもらいました。クライアントは解決策を既に持っていた。灯台下暗しだったわけです。さらには、このコンピテンシーはすべての社員に共通のものですから、女性店長の育成だけではなく、他の社員の能力開発にも活用することが可能になるという副産物もありました。

A社での取り組みがうまくいったのは、このように既にすばらしい財産があったことはもちろんですが、その他にもいくつかの成功要因がありました。

  • トップが取り組みに心からコミットしていて、女性達の集まった場で「経営の仲間になってほしい」という心からのメッセージを発する(ドキドキ・ワクワクしますね!)
  • 店長の上司にあたるエリアマネージャーにも研修を行い、その中の何名かはプログラムリーダーとしてイニシアチブを取った
  • 社内に「人が好き、仕事が好き、商売が好き」という価値観が浸透しており、この価値観を共有する仲間であれば、性別や出身(A社はパート社員の正社員登用もさかん)にかかわらず、チャレンジの機会が与えられる
  • これまで女性には開かれていなかった生鮮食品での現場体験(今回浮き彫りになったアンコンシャス・バイアスによる経験や機会の偏り)を補完するために、現場疑似体験の機会を設けるなど、マイノリティ支援の工夫を行った(こういうところで本気度がわかります)

ダイバーシティ推進にお悩みの方も多いと思いますが、実はそのために必要なツールは既に社内にある場合が少なくありません。そして本気で実行するかどうか。まずは一度お話を聞かせて頂けませんか?

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