若手に仕事のやりがいを感じさせるには? リーダーシップ開発のすすめ①:パーパスの活用

古くて新しい「若手のやりがい」問題

 今年も新入社員入社の季節を迎えました。人事・トレーニング担当の皆様はお忙しくされていることと思います。今年は7割の企業が入社式を対面で行っているそうで、入社式ができなかった2年目、3年目の社員が、今年の新人と一緒に入社式を行う様子をニュース報道で目にしました。経営陣や仲間たちとリアルに会うことで刺激を受けて、「モチベーションが上がりました!」と目を輝かせて答える若手社員の姿が印象的でした。

 職場配属後、独り立ちしてから管理職手前までのいわゆる若手層では、「エンゲージメント」が課題のキーワードとして上がります。平たく言えば、「若手に仕事のやりがいをいかに感じさせるか」という問題です。職業人として自己確立をしていく時期ですから、仕事や組織へのコミットメント度合いは揺らいで当然です。しかしながら、動機づけの衛生要因と同様、この問題に手を打たず放置しておくことが組織風土を劣化させてしまいます。古くからある若手のやりがい問題ですが、最近の課題の背景は次のようなところでしょう。

  • 長期化するコロナ禍およびリモートワークで、仕事のやりがいや成長感を感じにくくなっている(人によっては出社しての業務の方がデモチベーションという場合もあるので注意は必要)。
  • 業種や人材戦略によるものの、働き手不足時代にあり、若手の離職をくい止める必要がある。
  • 価値観が変化し、財務情報だけでモチベーションが上がらない時代になっている。特に若手にその傾向が強い。
  • 人的資本情報開示の動きが広がっており、エンゲージメントスコアを開示する企業が増えている。開示するからにはよいスコアにしたい。

若手社員へのリーダーシップ開発のすすめ

 PFCではこの課題に対して、若手のうちからのリーダーシップ開発を提唱しています。リーダーシップ開発、すなわちリーダーの成長では、神戸大学金井壽宏氏とISL野田智義氏が『リーダーシップの旅(光文社新書)』で述べた、
①自分をリード(Lead self)
②組織をリード(Lead people)
③社会をリード(Lead society)
の発達段階論が有名です。影響力の範囲が拡大するにつれ、求められるリーダーシップが変化し、次のステージへの成長が必要であるという考え方です。

  さて、若手層へのリーダーシップ開発では、

  • 自ら動くための「セルフ・リーダーシップ」(自らの自主性の発揮)
  • 他者を動かすための「ワン・トゥ・ワン・リーダーシップ」(1対1のコミュニケーション)

を磨くことが重要です。加えて、管理職(複数の部下をマネジメントし、チームの成果をあげる)への準備として、1対多数のコミュニケーション(ファシリテーション)を磨くことをお勧めしています。

セルフ・リーダーシップ、対人コミュニケーション・スキルについては次号以降に譲り、本稿では新しい潮流である、パーパスを活用した若手社員のリーダーシップ開発をご紹介します。

パーパスを活用して若手のやりがいを引き出す

 多くの企業がESG経営へと舵を切り、マテリアリティ(重要課題)を定義、自社のパーパス(社会での存在意義)を策定するようになりました。経営企画の方々がマテリアリティの事業への反映にとりくまれる一方で、人事やトレーニングの皆様は、パーパスの社内浸透策を検討されているのではないでしょうか。

 組織ビジョンや戦略といった経営方針の浸透は、ご存知のとおり、上層部からカスケードしていくのが常套手段です。とりわけパーパス浸透は、先に述べたリーダーシップの発達段階論では社会をリード(Lead society)する経営層の役割であり、経営層が自事業の未来社会での価値創造を構想し、自分の言葉でパーパスを語ることで浸透をスタートすることが鉄則です。

 これに加えて昨今、社員一人一人が、自分の個人パーパス(自分は社会にどう役立ちたいのかという社会的存在意義)を内省し、言語化することを助ける研修や人事施策が出てきました。個人パーパスは、その人の社会に対する問題意識であり、なぜこの仕事に就きたいと思ったのか、なぜこの会社を選んだのかといった、仕事に関する動機付け要因や価値観を自ら問う作業となります。

 たとえば、先進企業であるSOMPOホールディングスは、社員一人一人の情熱の源泉を探る「Myパーパス」という活動を行っています。全社員が「WANT」「MUST」「CAN」の観点で自分の人生や職歴を振り返り、これら「3つの軸」が重なった領域を、自らを突き動かす「MYパーパス」として見出す活動です。

  業務や職場に埋没しがちな若手社員にとって、パーパス浸透活動は、自身のやりがいを再発見する絶好の機会となります。また、社会軸と自分軸の接点を早期から考え始め、存在価値や影響力の源泉を内省する訓練をスタートすることになります。

上司の関与が欠かせない

 さて、若手社員へのパーパス浸透では、落とし穴に注意した次のような対応が必要です。

  • 個人と組織の両方を扱う:やりがいの源泉となるのは個人のパーパスである。しかし同時に、企業のパーパスの意義を探求し、理解を深めることを行わなければ、個人パーパスとのつながりが考察できず、組織へのエンゲージメントにはつながらない。
  • 絵に描いた餅にしない:日々の活動の中にパーパスとの関連性を見出す、職務での実現可能性を検討する、キャリアプランに落とし込む、といったアクションが必要。つまり、上司の関与が不可欠である。

 若手社員を対象に「パーパス・リーダーシップ研修」を実施する場合も、上司が無関心・無頓着で、研修の成果を業務に引き付けて考察したり、実現に向けた支援がない場合、いっとき若手が活性化するだけに終わってしまいます。あるいは、パーパス経営を実践する他社に転職、ということになりかねません。

 研修の成果に最も影響力の大きい重要なステークホルダーは、受講者の上司です。言い換えるならば、プレイングマネージャーで忙しい管理職の部下育成スキルをいかに高めるか。これもまた、組織・人材開発で古くからある永遠の課題です。とりわけパーパスとなると、最も高い関心を寄せるのが経営層、次に若手層。管理職層となりますと「パーパスなんてやってらんないんだよ」というのが本音のところかもしれません。PFCでは、新任管理職研修の中にパーパスのモジュールを入れたり、1on1面談スキル向上のための研修に部下のパーパスを支援するロールプレイ演習を入れる等の工夫をしています。


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