カテゴリー別アーカイブ: 山田奈緒子

BOPビジネスについての研究成果および新潮流~グローバル組織開発コラム(6)

(このコラムでは、グローバル組織開発に関する身近な話題を提供していきます。今回の著者は取締役の山田奈緒子です。)

第1回『ダイバーシティを推進する日本企業の現在地』はこちら
第2回『グローバル人材に必須の“英語を話す”力を高める唯一の方法(テストのウォッシュバック効果)』はこちら
第3回『グローバル化の促進を阻む大きな要因は、幹部の無意識の思い込み』はこちら
第4回『差別は、知性があるがゆえに生まれるもので、また、組織への帰属愛の裏返しでもある』はこちら
第5回『「本業を通じた社会貢献は当たり前」GIAリーダープログラムの参加者に現れた変化とは?』はこちら

img_yamada2016squareグローバル組織開発の重要な一翼であるグローバルリーダー開発。PFCは早くから新しいグローバルリーダー像を掲げ、GIAリーダープログラムを開発・展開してきました。もうかれこれ7年目になりますが、この間、BOPビジネスに関する新たな研究なども進み、GIAの内容も年々進化させています。本稿では、BOPビジネスについてのここまでの研究成果および新潮流をご紹介しましょう。

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「本業を通じた社会貢献は当たり前」GIAリーダープログラムの参加者に現れた変化とは?~グローバル組織開発コラム(5)

(このコラムでは、グローバル組織開発に関する身近な話題を提供していきます。今回の著者は取締役の山田奈緒子です。)

第1回『ダイバーシティを推進する日本企業の現在地』はこちら
第2回『グローバル人材に必須の“英語を話す”力を高める唯一の方法(テストのウォッシュバック効果)』はこちら
第3回『グローバル化の促進を阻む大きな要因は、幹部の無意識の思い込み』はこちら
第4回『差別は、知性があるがゆえに生まれるもので、また、組織への帰属愛の裏返しでもある』はこちら

img_yamada2016square今年もPFCのフラッグシッププログラム、GIAリーダープログラムが始まりました。7月の2週間にわたるスリランカでの研修(フェーズ2)に先立って、4月に東京で行われた第1回目セッションでは、一昨年に参加した私からみても、驚くような変化が今年はありました。
それは、GIAの基本理念である、「本業を通じた社会貢献」について、「そんなことはもう当たり前だ」という参加者が複数名いた、ということです。 続きを読む

取締役就任のご挨拶(山田奈緒子)

img_yamada2016square明けましておめでとうございます。
本年から、ピープルフォーカス・コンサルティングの取締役として仕事をすることになりました。
これまでは、ビジネスチームにおけるクライアントワークのマネジメントと西日本でのビジネス強化を主に担当してまいりましたが、今後は、全社の取り組み、とりわけ今期は中期経営計画の3年目として、グローバル化促進、サービス・クオリティ向上、働き方のクオリティ向上、ソーシャル事業立ち上げの4本柱に私も尽力して参ります。コンサルタントとしての仕事もこれまでと変わらず行って参りますので、改めて、どうぞよろしくお願いいたします。 続きを読む

【組織開発の現場から】眠っていたコンピテンシーで女性たちが甦った!(山田奈緒子)

DSC_0650A_山田B「彼女(部下)に、喜んで店長のタスキを渡したいと思います」
大手流通企業A社での、女性を中心としたダイバーシティ推進プロジェクト。最終日の「卒業式」での男性上司のこの一言に、ぐっと来ました。
A社では、1年にわたって店長候補、副店長候補の女性社員とその上司(主に男性)を対象としたアクション・ラーニングを取り入れたワークショップ形式でプロジェクトを進めてきました。 続きを読む

【山田奈緒子】多様性の本質にせまる!~第3回 多様性と組織の価値観

yamada_newダイバーシティ推進やキャリア開発、リーダーシップなどを専門とするPFCシニア・コンサルタントの 山田奈緒子による「多様性推進活動を職場の改革につなげる」をテーマにした寄稿です。社内でのダイバーシティ推進活動の一環としてパナソニック(株)様のイントラネットにも掲載されています。

第3回 多様性と組織の価値観

前回の記事では、個人の価値観を取り上げましたが、今回は、組織の価値観について考えます。組織の価値観は、経営理念、バリュー、○○ウェイなどと呼ばれ、その企業の望ましい組織文化、平たくいえばありたい社風を言葉で表現したものです。

「組織の価値観」は多様性をマネジメントするために欠かせません。現場の管理職の方から「多様性を認めると究極的には組織はバラバラになってしまうのではないか」という問題提起をいただくことがありますが、多様性推進は決して「何でもあり、何をやってもオッケー」ということではなく、「違い」を組織の力にしていこうという取り組みです。したがって、多様性推進をしているときこそ「違い」をどうまとめるかというマネジメント力が問われます。 続きを読む

【山田奈緒子】多様性の本質にせまる!~第2回:変革と価値観の多様性

yamada_newダイバーシティ推進やキャリア開発、リーダーシップなどを専門とするPFCシニア・コンサルタントの 山田奈緒子による「多様性推進活動を職場の改革につなげる」をテーマにした寄稿です。社内でのダイバーシティ推進活動の一環としてパナソニック(株)様のイントラネットにも掲載されています。

第2回:変革と価値観の多様性

12月も半ばになり、そろそろ一年の振り返りをしている方もおられるのではないでしょうか。今年もいろんなことがあった、充実感を得たこと、感じられないこと様々あったなどとあれこれ思いをめぐらすことは、自分の得意・不得意やゆずれないこと、信念や価値観を内省することにもつながるのでぜひ時間を取ってみてください。

さて、今回は個々人が持っている価値観について考えてみたいと思います。多様性推進では、性別、国籍、障がいの有無、年齢差といった目に見えて識別可能な「表層的なレベル」の違いが注目されがちですが、仕事経験や働き方の好み、パーソナリティといった、すぐには分かりづらい「深層的なレベル」の違いもその対象になります。私たちは究極的には、表層的なレベルよりも、深層的なレベルで他者から理解され、信頼されたいと願っています。各人の「らしさ」の中核となる価値観は、深層的な違いの中でも最も大切なものと言ってもよいでしょう。 続きを読む

【山田奈緒子】多様性の本質にせまる!~第1回:「違い」を活用した変革推進とは?

yamada_newダイバーシティ推進やキャリア開発、リーダーシップなどを専門とするPFCシニア・コンサルタントの 山田奈緒子による「多様性推進活動を職場の改革につなげる」をテーマにした寄稿です。社内でのダイバーシティ推進活動の一環としてパナソニック(株)様のイントラネットにも掲載されています。

第1回:「違い」を活用した変革推進とは?
安倍政権の「2030」(2020年までに指導的地位にある女性の比率を30%にする)に後押しされて、クライアントから女性活躍推進支援のご相談が次々に舞い込むようになりました。つい先日は、ある企業の部長向けの変革推進ワークショップで、女性活躍を職場の変革活動にどう取り入れるかというセッションのファシリテーターをしてきました。これまでは組織の傍流で、極端にいえば「異質な要素」であった女性社員を職場のメインに取り込むことで、組織全体の変革を加速しようではないかという発想です。 続きを読む

ASTD2012報告(山田奈緒子)

5月6日~9日にかけてUSコロラド州デンバーにて行われたASTD(American Society for Training and Development)の2012年度International Conferenceに参加してきました。

本年度は、”Learn something new, perform something extraordinary”というテーマで、ジェネラル・セッションに「ビジョナリー・カンパニー」のジム・コリンズ、「ミスター・イノベーション」のジョン・カオ、新進気鋭の心理学者ハイディ・グラント・ハルバーソンという豪華な顔ぶれが登場し、360のコンカレント・セッション、エキスポ参加企業300社という大きなカンファレンスになりました。

全参加者9000人あまりのうち米国外からの参加者数は2100名だったそうで、4分の1弱がアメリカ人以外の「外国人」の集まりだったことになります。セッションでは参加者同士で演習やディスカッションをする局面が多々あり、早口の英語での指示がわからず戸惑うようなときに、サウジアラビア人、韓国人、中国人、トルコ人といった「外国人」同士で助け合うチャンスが何度かあり、そこからとてもよい意見交換やネットワーキングをすることができました。

 

ASTD2012のトレンド

 カンファレンスでは360ものセッションが同時開催(コンカレント)されており、実際に参加できるセッションはほんの一部です。その上今回ASTD初参加の私が、今年のカンファレンスのトレンドを語る、というのはなかなかに乱暴なことですが(そして毎年のように参加しておられるベテランの方はおそらく別の見方をされるであろうことも承知の上で)、あえて今回の特徴を考えてみようと思います。

 (1)Global Human Resource Development(グローバル人材開発):海外勢の事例紹介
Global Human Resource Developmentは、今年から新たに設けられたテーマだそうで、まさに新潮流の分野です。ここでは米系企業に加え、タイ、韓国といった海外企業の事例紹介が目立ちました。私は実際に、タイのサイアム・セメント・グループの事例紹介、韓国の現代自動車の事例紹介に参加しました。両事例ともに、国内重視からグローバル化へ、コモディディ商品から高付加価値サービスへといった変革に直面し、包括的な取り組みを行っていました。コアバリューを見直し、人材プロファイルを再定義、ビジネスユニットを巻き込みながらコンピテンシーに落とし込み、研修などの人材育成施策に落とし込みながら変革を推進するプロセスが具体的に紹介され、非常に質の高いセッションでした。すばらしい点は両社ともに、グローバル人材の育成だけに焦点を当てるのではなく、グローバル化を推進する組織風土への変革を視野に入れた取り組みを展開しており、いまやグローバルODは世界共通の取り組みであることを痛感しました。

さらに大きな特徴として興味深かったのは、両社ともに、国民的・組織的文化を十分に勘案した取り組みの設計を行っていたところです。サイアムグループの変革活動では、タイの国民性を鑑みて、「いかに社員が危機感や不安を感じることなく(燃えさかる甲板にいることを実感せずに)、変革行動をとるように仕向けるか」を大命題としたとのこと。なるほど、穏やかで「問題ない」ことを重視するタイ人社員にとって、変革の第一ステップである「危機感の共有」は不安感を煽ってモチベーションを下げるだけということなのでしょう。ボトムアップであらゆる階層の社員が対話をもつ機会を多用したとのだそうです。

韓国の現代自動車の方は、強いトップダウンでバリュー浸透を行っていました。研修以外にも、運動会や遠足のような場面で新たに策定したコアバリューを、おそろいのジャージを着た社員が寸劇で表現している場面が映像で紹介され、アメリカ人が興味深そうに眺めていました。

グローバルODは世界共通言語であるけれど、埋め込まれた文化の中で進化する一つ一つの組織にふさわしい取り組みを設計することこそ、私たち組織開発に携わる者が日々知恵を絞るべきところだと改めて教えられました。

ところで、昨年までのASTDでは、韓国のサムソングループの事例紹介が多かったとのこと。来年は、中国やインド企業の事例紹介が増えてくるのでしょうか。

 

(2)Learning Technologies(ラーニング・テクノロジー)
Learning  Technologiesの分野では、グローバル・バーチャルクラスで研修を行う際の設計や運営のノウハウ、SNSやスマートフォンを活用した学習の事例が数多く紹介されました。この分野の最新動向は「モバイルラーニング」。集合研修、Eラーニングの延長上にあり、社員一人ひとりが求めるニーズに応じて深い情報提供を可能にするもの、と位置づけられていました。

ここでのキーワードはジェネレーションYです。1985年以降に生まれ、タブレットやモバイル機器を学校の教室で使ってきた若い世代は、仕事においてもモバイルを手から離さず、情報を求め、学習意欲が高いという特徴があります。若手優秀人材のタレントマネジメントにおいて、モバイルラーニングはもはや学習の一手法ではなく、組織がもたざるを得ない能力である、とまで表現されていました。ユニシスユニバーシティ、Hert、Qualcommが先進事例として紹介されていました。

 

(3)Measurement, Evaluation, and ROI(研修の効果測定指標、評価、ROI)
研修効果の浸透施策としてPFCでも力を入れている効果測定は、ASTDのコンカレント・セッションでも1テーマとして取り上げられています。4段階モデル(満足度、理解度、行動変化、組織成果の4段階)の生みの親であるドナルド・カークパトリックの昨年の引退を受けて、後継者であるジェームズ&ウェンディ・カークパトリックが、ROE(Return On Expectations)という概念を打ち出し、一連のセッションで紹介していました。研修の成果を具体的に示すことは、人事専門家の永遠のテーマといえるでしょう。

私が参加したセッションでは、リーダーシップ開発を効果測定指標に落とし込むステップが紹介されました。①ビジネス戦略上優先すべき課題を明確にする→②ESサーベイなど社内に既に存在するデータを探す→③新たなデータを作る→④リーダーの現在の価値を見極める→⑤データを金額換算する→⑥比較対象を決める、という明快なステップ。

PFCでは、研修を通じて何が達成されるとよいのか、という議論をクライアントと共に行うことを大切にしてきましたが、研修の狙いとビジネス戦略との紐付けこそが鍵であることを再認識しました。

 

【山田奈緒子】多様性を強みに変えるチームコミュニケーション-経営統合の葛藤を克服 異文化に遭遇し自己変革(3-2)

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このコラムは、山田奈緒子が日経情報ストラテジー2009年7月号から12号に掲載した記事をリライトしたもので、性別、文化、雇用形態等、様々なダイバーシティについて考察しています。
日本は、女性活用ひとつとっても、ダイバーシティ後進国です。女性がこれほどまでに活躍してないのは先進国の中で日本だけ。先進国以外でも女性の活躍はどんどん進んでおり、日本の国際的な競争力低下にも関わってくる問題です。ダイバーシティ推進は、企業の競争力を高めるだけでなく、少子高齢化の中で国家存続の問題への解決策のひとつにもなりえる切り札なのです。
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経営統合の葛藤を克服 異文化に遭遇し自己変革

3-2 理性だけでは納得できない
情報機器メーカーで人事部門の管理職を務めるH氏の事例を紹介しよう。長い伝統を持つA社とベンチャーとしてスタートしたB社が合併したメーカーで、合併後の存続企業はA社、H氏はB社の出身だ。
ヒエラルキーがはっきりしたA社とフラットな組織で自由闊達な雰囲気のB社とでは、組織風土に大きな差があった。実際に組織を一緒にするまでの間、A社の経営トップは技術開発の組織と業務プロセスを一つにするべく、開発部門のリーダーやH氏など人事担当者を交えて定期的にミーティングの場を設けた。双方の開発プロセスを洗い出し、統合後のプロセスを策定しつつ、文化のすり合わせを行うのが目的だった。
このフェーズは本来、意識の解凍を促進するものとなり得るはずだった。相手の仕事のプロセスを知ることで、これまで「当たり前」としていた自分たちのやり方とは異なる選択肢があることに気づけるからだ。しかし、「表面的な話に終始して、議論が前に進んだり、深まったりしなかった」とH氏は言う。
解凍フェーズでは、相手の話を傾聴し、立場を理解して共感する姿勢が必要とされるが、A社側には「存続会社のやり方に合わせるべきだ」という潜在意識があり、B社側はその意図を感じ取って反発を感じていた。
正式に経営統合した後、旧A社と旧B社の社員が実際に同じ職場で仕事をするようになると、H氏は徐々に融合が始まったのを感じるようになった。顔を突き合わせて仕事をすると、組織文化を頭ではなく、体で感じることができる。相手側の文化を評価・批判するより、共感し、理解しようとする志向が高まっていったのだという。
たとえば旧A社では意思決定するのは管理職の役割とされており、報告や判断を仰ぐための書類作成や管理業務が多かった。統合前「官僚的で融通のきかないものだ」と感じていた旧B社メンバーも、同じ職場で働くことで、それが「意思決定における納得感を高めるうえで有効である」と理解できるようになった。「会議の準備を十分に行って、議論を重ねて結論を出す。確かに時間はかかるが、いったん納得するとメンバー全員が強い一体感をもって実行に移していることが分かった」とH氏は話す。
B社のメンバーは、個々人が強い熱意を持ち、会議の席でも思ったことをどんどん発言していた。しかし、時として個人批判や無責任な発言が増えたり、会議で合意していない行動を社員が勝手にとったりすることもあった。仕事を共にすることで、それぞれの組織文化のメリットとデメリットを中立的に感じ取れるようになった。遭遇と解凍のフェーズが同時に起こったといえるだろう。

【山田奈緒子】多様性を強みに変えるチームコミュニケーション-経営統合の葛藤を克服 異文化に遭遇し自己変革(3-1)

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このコラムは、山田奈緒子が日経情報ストラテジー2009年7月号から12号に掲載した記事をリライトしたもので、性別、文化、雇用形態等、様々なダイバーシティについて考察しています。
日本は、女性活用ひとつとっても、ダイバーシティ後進国です。女性がこれほどまでに活躍してないのは先進国の中で日本だけ。先進国以外でも女性の活躍はどんどん進んでおり、日本の国際的な競争力低下にも関わってくる問題です。ダイバーシティ推進は、企業の競争力を高めるだけでなく、少子高齢化の中で国家存続の問題への解決策のひとつにもなりえる切り札なのです。
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経営統合の葛藤を克服 異文化に遭遇し自己変革

企業買収や経営統合、いわゆるM&Aは日本企業にとっても身近なものとなった。企業が事業の集中と選択を進める中、M&Aは今後も積極的に行われていくと予想される。
しかし、期待通りの成果を収めるとは限らない。M&Aを実施した企業のうち、8割以上の目標を達成した企業は3割弱にとどまる、という調査結果がある(デロイトトーマツコンサルティング2007年)。成功の要因として、ターゲット先の選定や経営トップのリーダーシップについで挙げられたのが、統合後の取り組み、特に合併後の風土統合である。

3-1 「解凍」「遭遇」「順応」のステップを踏む
2社による経営統合の場合、一方の組織文化に他方が合わせるか、全く新しい組織文化を創造するかという選択肢がある。いずれの場合も、組織文化を浸透させる上では、戦略的なデザインと経営による介入が必要だ。意図的な浸透活動なしに、文化が自然に融合することはあり得ない。
それをよく理解していたのが米ゼネラル・エレクトリック(GE)だ。ビジョンやバリューを重視した経営の背景には、1990年代の積極的な買収がある。買収直後から何週間にも及ぶ文化浸透プログラムを実施し、被買収企業のマネジャーたちの意識と行動をGEバリューへと変革した。そうした取り組みを経てこそ、買収によるシナジー創出が実現されると考えていたからだ。
文化浸透をデザインし、適切に介入するのに理解しておく必要があるのが、「解凍」「遭遇」「順応」「自己変革」の4段階のステップだ。M&Aを実施した企業の依頼で、文化浸透のためのワークショップを開催することも多いが、まず、「解凍」のステップとして、これまでの組織文化はどのようなものであったかを、ポジティブ、ネガティブな面の双方をしっかり話し合って表出化する。この時、企業文化だけでなく、社員個人の持つ価値観も引き出して、個人のバリューに照らした組織文化を議論しておく。
 
次に「遭遇」のステップで、新たな文化がどういうものなのかを具体化していく。たとえばその文化を体現している社員に、自らの体験を語ってもらったり、組織文化を端的に示す事例を4コマ漫画などで表現したりというセッションを行う。そして語られた体験や事例について、どう感じたかを参加者同士でディスカッションしてもらう。
解凍や遭遇のフェーズでは、心理的な抵抗感や葛藤が表れやすい。新しい文化に対して「自分は納得できない」「これまでの考え方が間違っているとは思えない」と反感をむき出しにする参加者もいる。こうした感情的な側面の噴出を抑えるのではなく、むしろ解放して、自らの気持ちに向き合ってもらうことが重要だ。
 
ワークショップでこれらのステップを踏んだうえで、実際の仕事を通じて、「順応」、「自己変革」を起こしていく。このフェーズでは、1対1のコーチングセッションなどを定期的に設けて、行動や心境を振り返ることも有効になる。