グローバル組織の運営
企業はどのような場合に、いかなる異文化状況に直面するのだろうか。この分野の権威であるN.アドラーは、企業の国際化の段階・国際戦略を4つに分けている。

第1段階: 国内のみで活動してきた企業
第2段階: 輸出や海外生産を行うようになった国際企業
第3段階: 海外拠点の現地化をする多国籍企業
第4段階: グローバルな視点から最適な製品開発、製造、販売活動が模索されるグローバル企業

段階が上がるにつれて、組織内の文化的多様性が顕在化して、より多くの社員に異文化状況に対応すること必要となる。第4段階のグローバル企業では、CEOから新入社員まで全ての人々に「異文化対応能力」が求められるといっても過言ではないだろう。

また、従来は「企業の国際化は段階的に進展する」と論じられてきたが、昨今の状況はそうとばかりはいえなくなった。例えば、インターネット販売を行う会社は、言葉の問題はあるにせよ、最初から海外の顧客に直面している。あるいは、まだ十分な国際化の経験を積んでいない事業会社において、グループ戦略の一環として海外のパートナーと組むという決定が下される場合もある。ある日突然、外資に買収されて、自社が外国企業の日本子会社になってしまうというケースや、海外のパートナーと短期間のうちに共同開発を進めなければならない、または、海外の社員も部下としてマネジメントしなければならない、外国人が上司になってしまった、などの状況は、“突然”やってくるのである。

「文化的多様性」のメリットとデメリット
外国からの赴任社員や外国人社員の短期的な受け入れによって構成される“マルチカルチャー・チーム”の特徴は、チームのプロセスがうまくいくと大きな生産性を生む潜在能力を秘めているが、うまくいかないと全く効果を上げないというリスクが大きいことだ。

マルチカルチャー・チームのメリットは、「メンバーのバックグランドの多様性から生じるアイデアの豊富さ、視点の幅広さ」である。問題の設定、解決策の創出、選択肢の評価、意思決定、実行のあらゆる局面において、ゼロベースでの検討が可能だ。チームの多様性のおかげで、偏った意見にグループ全体が賛同してしまうといった“集団思考の罠”に陥ることがない。しかし、このようなメリットが効果を発揮するのは、チームのプロセスがうまく管理されるという条件つきである。

異文化特有のデメリットとしては、国の文化に付随する先入観に囚われて、メンバーやその人の意見に対する認識に偏りが生じる可能性があることだ。また、外国語によるコミュニケーション、あるいは通訳を介するコミュニケーションは、通常の状態よりも不自由であるためにストレスを生みやすく、信頼関係が醸成されるプロセスを阻害しやすい。

異文化トレーニング
グローバルな視点をもつプロフェッショナルは、他の人間がつくりだした一般論を聞き及ぶだけでなく、より正確に自分の同僚を理解するために、同僚の行動様式を「なぜそうなのか」と問い続ける必要がある。

マルチカルチャー・チームのメリットを活かすべく、異文化状況におけるメンバーの能力を高めるためには、「異文化トレーニング」は有効な手段といえる。「何が違うのか」、「どうして違うのか」、そして「どうやって適応するのか」というステップを踏んでトレーニングを行うが、異文化トレーニングによって達成できることには次のようなものがある。

  • 文化的な違いを容認し、その違いを建設的な方向で活用する。
  • 自国の文化についてより深く理解し、その特質を他の人に客観的に伝える方法を習得する。
  • コミュニケーションが行き違い、それによって無駄なコストがかかるようなミスを減らす。
  • 外国人の同僚、顧客との信頼関係構築能力を向上させる。
  • ビジネス目標達成のため、自分の行動様式を特定の文化の行動様式に適応させる能力を高める。

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