トップ・エグゼクティブの孤独
厳しい経済環境を乗り切るにはトップの強いリーダーシップが求められている。変化の激しい現在、過去の成功体験や経験則がすぐに有効でなくなることも多い。経営者は常に自己を振り返り、自己再生に努める必要がある。
しかしながら、会社のトップ層になればなるほど、社内で心置きなく相談できる相手は限られてくる。社内といえども極秘の業務もあるし、極秘でなくても人や組織の課題については気軽に相談できない。つまり、自分を客観的に振り返る機会が圧倒的に減少するのだ。
信頼できる外部のプロフェッショナルコーチは、エグゼクティブに対して客観的な立場でフィードバックを行うことができる。エグゼクティブにとってのコーチは、自らの思考や判断を映してくれる鏡のような存在とも言え、孤独な経営者にとっては組織の利害関係を超越した信頼できる相談者となりうるのである。

コンサルティングとエグゼクティブ・コーチングの違い
コンサルタントとは、クライアントの課題や目標について相談に乗り、課題の解決や目標の達成に対する助言や支援を行うプロフェッショナルである。クライアントの課題や目標を出発点とする点において、コーチングと類似しているといえよう。
しかし、エグゼクティブ・コーチでは、コーチがクライアントに代わって問題解決することはない。従って、コーチが調査や分析や戦略立案をしてくれると期待してはいけない。あくまでも、エグゼクティブ自身が問題の解決をすることの後押しをするのが、エグゼクティブ・コーチングの目的である。
エグゼクティブ・コーチングの焦点はエグゼクティブの成長にあるから、従来の手法やサービスがなかなか触れることの出来なかった人間特有の領域に密接に触れていく。
エグゼクティブ・コーチングは、数年前から欧米を中心にそのニーズが高まり、今やコンサルティング業界を凌駕するほどに成長している。フォーチュン500社の内、エグゼクティブ・コーチを採用している企業は、40%という説(The Hay Group)から70%という説(Korn Ferry International)まである。いずれにせよ、コーチングを受けた人たちが大きな価値を見出していることが、急速に広まった理由と考えられる。

エグゼクティブ・コーチングの内容
通常、エグゼクティブ・コーチが決まったカリキュラムを提示することはない。ビジネス上の課題もエグゼクティブの個人的課題も千差万別であるからだ。コーチングプログラムは、最初にエグゼクティブ個人と、何を目標とするかについて合意することから始まる。
コーチングで取り扱われる典型的なコーチング課題には次のようなものがある。

  • 部下指導力
  • コミュニケーションスキル
  • 戦略的思考や意思決定
  • 行動力や変革推進力
  • チームビルディング
  • 自己認識力と自己内省化

エグゼクティブ・コーチの資質と選び方
最近は、いわゆる「資格」をもったコーチが随分と増えた。しかし、エグゼクティブ・コーチは、単なるコーチングのスキルや知識ではなく、ましてや資格や経歴ではない、職業人としての見識と人格と倫理を問われる存在である。そうでなければエグゼクティブが全幅の信頼を置いて相談できる相手たりえない。個人としての深い学びと組織の成功のために、慎重にかつ大胆にコーチを選ぶ必要がある。ただし、コーチはメンターとは異なるので、自分より「先輩」であったり「業界エキスパート」である必要は必ずしもない。
以上を念頭におき、コーチ候補を選び、先入観に囚われずに話をすることである。そのコーチは何を経験してきて、何のためにどのようなコーチングをしてくれるのか。どのような洞察力をもってエグゼクティブの世界をともに探索してくれるのか。そのためにどのような覚悟と約束をしてくれるのか。このようなことを探ってみよう。
最後に、一番大事なことは、あなた自身が、自分の成長のために、コーチングに対してどのような覚悟と約束をできるのかを忘れないでいただきたい。

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