キャリアデザイン
今や終身雇用は終焉し、組織は常に変化している。このように自分のキャリアを会社任せにする時代は終わったという状況下では、どのようなキャリアを歩みたいのかを自分自身に問い続けていかなければならない。そして働く環境が不安定であるからこそ、核となる自分自身のキャリアに対する価値観を構築することがいっそう重要になってきた。

また、企業にとっても、自立的にキャリアを考える社員の育成は重要な課題だ。カフェテリア型の研修制度やFA制度の導入は、まず社員が自分のキャリアは自分で作るのだという意識をもってこそ機能するからである。

キャリアとは?
キャリアという言葉を聞くと、職歴や経歴を思い浮かべる人が多いだろう。いわゆる履歴書に書けるような職務経験のリストだ。これは、当然ながらキャリアの一側面をあらわしており、外から見ることができるという意味で「客観的なキャリア」と呼べる。

キャリア研究者の第一人者の一人である神戸大学の金井教授は、キャリアを、「長い目で見たときの仕事生活のパターンや意味づけ」と定義する。これは、職歴・経歴といった「客観的なキャリア」について、本人がどう考えているかも問う「主観的なキャリア」の定義でもある。

近年は、この「主観的なキャリア」の価値観を問うことの重要性が強調されるようになった。スキルや能力の棚卸し、将来の計画は当然のことながら大切である。しかし、ことさら不安定な環境の中で、自分のスキルや能力を現在および将来の職務にマッチさせていくために、まずは核となる自分の「働く価値観」を見つめ、理解することから始めなくてはならない。

主観的キャリアを問う意味
私たちはキャリアの進展に伴って、自己認識を深め、自己イメージを育てていくといわれている。
自己イメージは、仕事を通じた多種多様な経験の中で、さまざまなフィードバックを受けながら形成されていく。才能、動機、価値観は複雑に絡み合って発達していくが、この複雑な中身を、自分なりに整理し、理解し、納得していることが、自己認識である。

なぜ自己イメージ、主観的キャリアを自分で理解することが重要なのだろうか。それは、これからのキャリアの方向性を定めるのに、自分のコアになる価値観を知っておくことが重要だからだ。私たちのほとんどは、常に自分の欲求や価値観にあった仕事ばかりできるわけではないのが実情である。たとえままならない状況にあっても、やらされ感を感じずに、よりどころとなる自分を持ちつつ仕事をしていくためには、主観的なキャリア観、内なる声に耳を傾けている必要があるというわけだ。また、自らの自己イメージや、これまでのキャリア歩みに対する深い洞察は、優れたリーダーの資質としても重視されている。

いつキャリアを振り返ればいいのか
キャリアの問題において、「節目」へ注目することは大切だ。節目をくぐりぬける体験こそが、成長するために「一皮むける経験」であるからだ。

自分の節目はどこにあったか振り返ってみよう。節目でわかりにくければ、仕事の仕方や考え方を変えるような体験、転機、ターニング・ポイントになった経験を回顧して見ればよい。

キャリア発達が前進する過程で、私たちは必ずしも一直線に自分の目標や理想像に向かって進んでいけるわけではない。どんなに慎重に、綿密な将来計画を立てたとしても、将来のビジョンを修正することになるかもしれない。何十年にも及ぶキャリアの全体を一度にデザインすることは無茶な話である。それよりも、節目ごとにデザインを修正、調整していくことは現実的であり効果的な戦略なのである。

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