グローバルなハイパフォーマンス・チームを作る

前項でグローバルチームに必要な3つの要素を説明したが、本項ではそれぞれの要素をさらに質的に上の次元に発展させ、ハイパフォーマンス・チーム(HPT=高業績チーム)を実現させる方法について詳述する。

 

ハイパフォーマンス・チームとは

皆さんは、単なるチームではなく、「ハイパフォーマンス・チーム」と呼ぶにふさわしいチームに接したことがあるだろうか。

チームメンバーは、チームが向かおうとしている方向性や価値観に心からコミットしていて、チーム内で明確に決まっている仕事の手順や役割分担に沿いながらも柔軟に運用し、また創造的にチーム外と交わりを持ち、必要なスキルを持った人がそれぞれの能力を発揮するのみならず、互いにサポートし切磋琢磨や刺激を与え合う関係を通じて、自分の個人的な成長とともにチームとしての相乗効果を生み続けていくようなチームだ。

 

スポーツのチームで考えるとわかりやすい

ハイパフォーマンス・チームは、スポーツのチームなどに当てはめるとわかりやすいのではないだろうか。たとえばサッカーのワールドカップで優勝するチームなどは、優勝するという明確な目標とそのために必要な勝者のメンタリティをメンバー全員が共ではなく、むしろ役割を離れた柔軟で創造的な動きがチームに効果をもたらし、また勝ち上がっていくうちに自信とさらなるモチベーションが1人ひとりに芽生え、互いに遠慮なく要求し合いながらも協力関係も強固になっていくのが傍目からもわかるケースが多々ある。ギリギリでの頑張りや超ファインプレーなどの超越したプレーが生み出されるのは、個人の技量もさることながら、こうしたハイパフォーマンス・チームが生み出す相乗効果も大きく影響しているはずだ。

ハイパフォーマンス・チームをつくる上でも、やはり、ベクトル・プロセス・ヒューマンの三要素が重要であることは変わらない。ただし、それぞれの要素を、さらに質的に異なる次元に発展させる必要がある。グローバルチームを機能させるためには、ハイパフォーマンス・チームをつくることを意識すると効果的だ。ハイパフォーマンス・チームでは、ベクトル・プロセス・ヒューマンの要素がチームとはどのように質的に異なるのか、詳細に確認しておこう。

 

ハイパフォーマンス・チームの「ベクトル」

ハイパフォーマンス・チームのベクトル合わせは、単に業績目標や業務上の方針の共有によってチームの方向性を1つにするのではなく、チームの「ビジョン(将来像)やバリューズ(価値観)」を共有することで、チームに一体感をもたらすのだ。

たとえば、あなたがサッカー選手でW杯優勝というチーム目標を掲げていたとして、スタジアムの大歓声のなかで万歳をしながらチームメンバー全員でW杯のトロフィーを掲げている自分たちの姿をイメージしてみると、単に優勝という目標を掲げていただけの場合よりも、力が湧いてこないだろうか?

チームのビジョン(将来像)が共有されると、将来のチームの姿が具体的に各人の目に浮かぶようになり、メンバーがみずから積極的な行動を求めるようになり、ビジョンに向かうエネルギーがチームの中に自然に醸成されていく。

また、バリューズ(価値観)の共有もハイパフォーマンス・チームに欠かせない。メンバーそれぞれの自身の価値観と結びついたチームの規範が浸透していると効果的だ。メンバーがそれぞれ大事にしている価値観を互いに共有していて、各人が自分の役割に固執するの有し尊重し合いながら、チームとしてのどのような規範を大切にすべきかを定めるのだ。たとえば、「助け合いの精神」とか「顧客目線で考える」とか「本質の追求」などといったものだ。こうした規範は全員の共通の価値観となり、各人の行動や思考、判断の際の基準となり、チームの力を高めるのだ。

 

ハイパフォーマンス・チームの「プロセス」

プロセスにおいては、チームをつくるには、業務の進め方や役割分担を明確にすることが求められた。しかし、ハイパフォーマンス・チームになるには、明確にしたプロセスを皆がひたすら遵守することにとどまらず、チーム内で「柔軟に対応するプロセス」や、チーム外との交流をあえて行うといったような「創造的なプロセス」を運用できる力が求められる。必要に応じて、決められた役割を超えてメンバーが動いているか、必要に応じていつもとは違う進め方が取り入れられているか、などが見るべきポイントだ。

このような柔軟で創造的なプロセスを有しているチームでは、役割分担を超えて、メンバーが互いの領域に良い意味で口を出したり、首を突っ込んだりしている。結果として、互いの補完が進んだり、革新的アイデアの創出が促進されたりしている。

 

ハイパフォーマンス・チームの「ヒューマン」

個々の能力やスキルだけに目を向けるのではなく、「メンバー間の関係性」の向上を図っていくのが、ハイパフォーマンス・チームのヒューマンの要件である。メンバー同士が互いを知り合い、密接にかかわることの意義を理解し合うことで、メンバーの個性や考え方の違いを力に変える関係性を構築するのだ。そして助け合い、フィードバックなどを通じて切磋琢磨しながら、常に相乗効果を出せるようにするために働きかけていくのだ。

 

チームと「ハイパフォーマンス・チーム」の違い

日本では、チームとハイパフォーマンス・チームとを明確に区別していない企業が多い。我々のクライアントからも、「ベクトルもプロセスもヒューマンもきちんと意識してチーム運営をしている。しかし、チームとして機能している感が足りない。我がチームには何が欠けているのだろうか」といった声をよく聞く。

そうしたチームのリーダーに話を聞いてみると、「明確な数値目標と業務方針を掲げ(ベクトル)、明確に役割分担をして仕事の進め方をマニュアル化し(プロセス)、大変優秀な人材を雇用して、必要なスキル教育などもしっかりやって育てている(ヒューマン)」と声を揃える。しかし、チームを「ハイパフォーマンス・チーム」に進化させるには、ベクトル・プロセス・ヒューマンの3つの要素を、チームに求められた内容ではなく、異なる次元に誘わなければならない。

こうしてみると、ハイパフォーマンス・チームづくりをすることは、厳しいグローバル競争を乗り越える競争力を企業にもたらすためのチームづくりと同値だ。日本企業は、チームづくりで止まっていてはならない。

「チーム」を「ハイパフォーマンス・チーム」に進化させる

 

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