コンフリクトは悪か?
コンフリクト(Conflict)とは、衝突、葛藤、対立などの概念で用いられ、従来「コンフリクトを引き起こさないように、できるだけ避けなければならない」という考えが支配してきた。

その後、このコンフリクトについて様々な研究がなされ、「調和的で平穏な協力的集団は停滞しがちであるので、効果的にコンフリクトを起こす必要がある」といった調査結果から、現在では戦略的にコンフリクトを活用することへと発展し、推奨されるに至った。

一方、和を重んじる国・日本では、戦略的にコンフリクトを捉えている人や企業は少なく、“コンフリクト=悪”として避けようとしたり、あってもないかのように振舞ったりする傾向が強い。また、コンフリクトを解消する術を体系的に持ち合わせてもいない。その結果、その場はしのげても火種は残り、コンフリクトは解消しない。そして、健全さが損なわれていき、変革は遅々として進まないのだ。

コンフリクトは歓迎するもの
今日のように、ビジネス環境が高度化・複雑化し、変化のスピードが増すと、それに伴って組織は「素早い意思決定と実行」が求められる。ところが、変革を進めていくと、人々はその変化を脅威と受け取り、様々な形で抵抗しようとするため、対立が起こる。しかし、コンフリクトに対処する術を備えていれば、恐れる必要がなくなる。そして、コンフリクトには多くのメリットがあることに気づく。いくつか挙げてみよう。

  • 変革を推進している証しとなる(抵抗のない変革は、たいした変革ではないだろう)。
  • 本音を包み隠さず、率直に意見を言い合う職場の形成に役立つ。
  • 自分を知り、相手をより深く理解できるようになる。
  • 人間関係を深めることができる。
  • 議論の幅や奥行きを出し、意思決定の質を高めることができる。
  • 学びあうことで、新しい気づき、アイデアを得ることができる。
  • より多くの成果を双方にもたらすチャンスを生む。

従って、健全で強固である組織になるには、「社員がコンフリクトを効果的に扱えることが必要条件」であるともいえよう。

コンフリクトにおける対処
心理学者のトーマスとキルマンは、人が対立したときに取りうる態度について、5つのモードに分類した。

  • 競争的 ・・・ 相手を犠牲に(説得)して自分の利益を中心に解決。
  • 受容的 ・・・ 自分の要求を抑えて相手の要求を受け入れることで解決。
  • 回避的 ・・・ その場で解決しようとはせず、対立する状況そのものを回避。
  • 妥協的 ・・・ 互いの要求水準を下げて部分的な実現を図る。
  • 協調的 ・・・ 双方の立場を尊重し、協力しながら事態解決。

どのモードが適切なのかというのは、もちろん状況による。従って、「状況に応じてモードを使い分ける」ことが大切である。因みに、アメリカの有能な弁護士は、「協調モード」が圧倒的に多いと言われている。映画などで見るタフなイメージの「競合モード」ではないのだ。また、有能なネゴシエーターは、相手が有能であることを期待するという。そうであれば、「協調モード」をとり、双方にとってより大きな成果を得ることができるからだ。

コンフリクトマネジメント
それではコンフリクトをできるだけ協調的に解消していくには、どのような手順を踏んでいけばよいのであろうか?

互いに本音を話し合える場で、互いのコンテクストを理解する。そして共通の課題をつくり、解決に向けてアイデアを出す。そのアイデアを評価し、合意する。このようなステップを踏めば効果を得ることができよう。

最後に強調しておきたいのは、「誰かが動かないと組織は変わらない」ということだ。でなければ、相変わらず対立の火種はくすぶったままである。「この組織はおかしい」と思ったあなたが、対立を恐れず動かないと何も始まらないことを忘れないでほしい。「自分には対立を解消できる力がある」という信念を持ち、真摯かつ建設的な態度で臨んでいくことを薦めたい。

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