グローバル組織開発ハンドブックより〜「チームワーク」は日本企業の得意分野ではなかった?

国際基準とは違う日本のチームワーク

「日本人のチームワークの良さ」は、これまでさまざまな面で取り上げられてきたが、しかし、その前提はあくまでも均質性の高いチームでのチームワークだ。グローバルチームに求められるのは、多様性の高い組織でのチームワークであり、まったく別物と捉えなければならない。

一言でいえば、「和」を以って尊しとなすのではなく、むしろ「異」を以って尊しとなす、というような、これまでとは真逆の視点や姿勢が必要なのだ。日本企業の「チームワーク」力は海外企業のチームと比較して、必ずしも高いわけではないと認識し直すべきかもしれない。

開発余地が大きい日本企業のチーム

世界経済フォーラムのボードメンバーである齋藤ウィリアム浩幸氏も著書のなかで、「チームとはメンバーの多様性が極めて高い集団を指すのであり、真のチームがないから日本は世界で勝てない」と指摘している(『ザ・チーム―日本の一番大きな問題を解く』(日経BP社、2012年))。

我々が多くの企業で組織開発のコンサルティングを行うなかでも、日本企業の日本人だけのチームであっても、チームとして十分に機能していないと感じる場面が最近増えている。これは実際にデータにも表れている。我々は、企業内のさまざまなチームがチームワークを十分に発揮できているかについて調査する「チーム効果性調査」を開発し、多くの企業で実際に調査を行ってきた。調査を実施したチームは、2016年7月現在で1500を超える。ここで調査結果の一部を紹介すると、主たるものは次のようなものだ。

■すべての調査項目のうち、チーム成果を測る項目である「成果感(チームは十分な成果を上げている)」や「貢献感(このチームにいると自分が思っていた以上の力を発揮できる)」が最もスコアが低く、チームに対する効力感を実感できていない人は多い。

■自チームの運営に課題を認識している人は非常に多く、業界を問わず、チーム運営に関して、リーダー、メンバーともに評価が低いのは次のような項目である。
・チームのビジョンの共有
・チーム内の役割分担の量と質
・チーム内のPDCA

この調査は、必ずしもグローバルチームだけが対象ではなく、ほとんどのサンプルが国内で活動しているチームであるため、ここでの紹介はこの程度にとどめるが、調査結果から、日本企業のチーム力の開発余地が大きいことを断言でき、大いに危惧している。

チーム作りをゼロから学ぶべき日本企業

「日本企業はチーム力が高い」という前提が崩れた現在、謙虚にチームづくりをゼロから学ぶ自覚を持って、グローバル人材育成に取り組むのと同等のエネルギーをかけて、グローバルチームづくりに取り組まなければならない。

日本企業のチーム力は高いという誤った前提に立ったままだと、グローバル化を推進する多くの日本企業が、組織のグローバル化ではなく、グローバル人材育成のみに関心を大きく割くことになるという弊害も出てくる。つまり、チームづくりのノウハウはこれまでの経験から十分な蓄積があるのだから、あとはグローバルに対応できる人材を育成しさえすれば、グローバルチームもうまく機能させ得るという考え方をとってしまうのだ。

グローバルでのチームづくりの難しさが増す最大の理由は、多様性にある。多様性が増すことによって、日本人のみの国内でのチームの運営に比して、グローバルチームワーキングは3層の複雑性を持つことになる。すなわちCSPの複雑性だ。グローバルチームに携わって仕事をする際、CSPがもたらすチームワーキングの難しさに直面し、苦労した経験のある人は少なくないはずだ。CSPによるチーム運営の難しさと、それを乗り越えるための方策について、詳しくは2・7で述べる。

>>詳しくは『グローバル組織開発ハンドブック(東洋経済新報社)』をご覧ください。

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