システム思考(システム・シンキング)

システム思考とは?
システム思考(システム・シンキング)とは、物事をシステムとして捉え、そのシステムを構成する要素同士のつながりと相互作用を図式化し、全体性を把握しながら定性的分析を行う思考技法である。なお、システムとは、組織や社会といったある境界の中で、一群の構成要素があり、それらが相互に依存したり影響したりしながら全体を形成している状態のことをいう。
この考え方は、機械論のアンチテーゼと位置づけられる。すなわち、機械論においては、問題とその原因といった因果関係が直線的に考えられ、また、その図式化がロジックツリーなどを用いてなされる。それに対して、システム思考においては、人間活動や組織、社会を有機体あるいは開放系・複雑系として捉え、ある事柄が原因でもあり結果でもあるなど、相互作用が一方方向ではないという前提に立つ。その図式化にはループ図(フィードバックループ)が用いられる。
システム思考は、当初は物理学者や生物学者などの科学者の間の思想論であったが、ピーター・センゲ氏の名著『最強組織の法則』 (徳間書店)において、システム思考が、5つの規律(5 disciplines)の1つとして紹介されたことで、企業人にも広く認知されることとなった。

組織開発におけるシステム思考の有用性
組織開発では、組織を機械のようなものではなく、人間の集合体と見なしているので、システム思考が役に立つ。(詳細は「組織の捉え方」を参照)たとえば、組織活性化といった課題に対して、「業績が上がれば、組織も元気になるのだ」という人がいる。それも一理あるのだが、一方で、「組織に元気がないから、活動が停滞し、業績に悪影響を及ぼしている」ともいえる。 また、ロジックツリー的な考え方でいくと、組織が活性化していない原因を、どこか特定の箇所(階層や部署)1つに定めようとするが、それも適切でないことがよくある。たとえば、「課長層がリーダーシップを発揮できていないからだ」として、課長層にリーダーシップ研修を受けさせるという短絡的な施策を打ったりするが、このケースではその課長層を指導すべき部長層はどうなっているのかという問題が見逃されている。
対して、システム思考においては、ある課長の行動は、その課長が属しているシステム(その組織や業界)構造によって生み出されたものと考える。そして、そのシステムの構造をループ図で描き表しながら、関係者全員で理解することが、問題解決の第一歩となる。なぜなら、それによって課長も部長も課長の部下も、全員がシステムの構造の一要素であり、問題現象の一端を成していることが理解され、全員が問題解決に貢献できることに気づくからだ。システム思考では、さらに、この問題に関する各人の思い込み(メンタル・モデル)を洗い出し、全体への波及効果が大きい変化点(レバレッジ・ポイント)を探求し、解決策を見極めていくこととなる。

システム思考と企業の社会的責任
システム思考が企業経営に求められるもう1つの局面が、CSR、すなわち企業の社会的責任だ。地球という複雑なシステムの中で、企業はその構成要素であり、地球上で生じている環境問題や社会問題が、企業の活動との相互関係にあるのは明白である。そして、企業としては悪意もなく行っている通常の企業活動が、思わぬところで環境問題や、貧困問題、民族対立問題などに悪影響を及ぼしうることがあるのだ。
こうした持続可能性や人道問題は、もはや「その問題は、政府や国連やNPOの仕事」と企業が関与しないでいられないほどに深刻さを増している。したがって、政府、NPO、地域住民、そして企業といった様々なステークホルダーが、システム思考の技術を用いて、問題解決の共同作業に取り組むことが求められるのである。

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