グローバル組織開発ハンドブックより~グローバル組織開発に立ちはだかる 3つの複雑性

コンテクストが鍵

組織開発、すなわち「健全で強固な組織づくり」は、そもそも国内組織でも十分にできていないという企業は少なくない。それができないままにグローバル化を進展させ、グローバルな組織をつくろうとすると、広がりも影響範囲も大きい分、その弊害は数倍にもなって跳ね返ってくる。

組織開発は、どこで行うかによって本質的にやり方や試みが異なるわけではないが、グローバルで効果的に組織開発を行うには、「コンテクスト(文脈・背景・状況)」の認識や理解、対応が鍵になる。

 

日本人が活躍できるのは日本企業でだけ?

ある大手英系企業の人事部長が、驚愕しつつ話したことがある。

「有名日本企業の成功しているマネジャーをヘッドハントしたのだが、精神論ばかりで戦略は立てられないし、部下の指導もうまくない。いったい、どうしてあの日本企業は成功できているのか不思議だ」

この話は、裏を返せば、日本人が活躍できるのは日本企業内という一定の組織のコンテクストがあってこそ、という事実を如実に物語っている。日本企業で働く多くの日本人にとって、グローバルな組織のコンテクストは自明のものではないのは当然だ。そうなると、そのコンテクストを意識し理解するための枠組みや整理が必要になってくる。

 

グローバルな組織開発の3つの複雑性

組織がグローバルになると、コンテクストが複雑性を増すことは想像しやすいだろう。したがって、組織開発の取り組みも難しさを増す。国や地域が異なることそのものよりも、宗教や習慣といった“文化的要因(Cultural)”によって生じるコンテクストの違いが組織運営を難しくする。あるいは組織運営に不可欠なさまざまなルールや方法などの“制度的要因(Structural)”によるコンテクストの違いにも十分に配慮しなければ、国内では想像もしなかったことが重要課題となりうる。距離の離れた複数の拠点間のやり取りを困難にする“物理的要因(Physical)”もまた、工夫して克服できなければ組織運営上大きな壁として立ちはだかる。

国内での組織開発ではほとんど無視することができた、この文化的(Cultural)、制度的(Structural)、物理的(Physical)という3つの要因をもつ複雑性が、組織のグローバル化の行く手に横たわっているのだ。

それらの複雑性を、私たちPFCでは「CSPの複雑性」と呼んでいる。
この「CSPの複雑性」こそがグローバルな組織運営の難しさを生じさせ、グローバルな組織開発の必要性を生む要因だと考えられるものだ。

「CSPの複雑性」3層のそれぞれは、さしずめ以下のように定義される。

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CSPの複雑性がもたらす困難とは

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