グローバル組織開発ハンドブックより~周回遅れの“人と組織”のグローバル化~

8割以上の企業が引き続き海外事業を強化・拡大

今日、業種や分野を問わず、多くの企業の経営方針にグローバルビジネス の強化が掲げられている。

日本の主要企業を対象にした国際協力銀行の調査(「2015年度海外直接投 資アンケート調査結果」2015年12月3日発表)によれば、すでに日本の大手 メーカーの海外生産比率は実績見込みベースで36%となり、電機・電子産業 (43%)、自動車産業(45%)など、業種によっては半分近くを占めるに至っ ている。

海外売上比率に目を転じても39%という高い水準にある。これは10年前と比べて10ポイント近くも高い数字だ。日本の産業は、生産も市場もグローバ ルなしでは成り立たないという状況が見てとれる。 もはや日本企業にとって、グローバル化は避けて通ることのできない重要課題であるのは明らかだ。この傾向が今後さらに強くなっていくことは、同アンケートの回答企業607社のうち、実に8割以上が引き続き海外事業を強化・拡大する姿勢を打ち出していることからも確実だろう。製造業・非製造 業にかかわらず、多くの日本企業がグローバル化こそ将来の成長の鍵と考え ており、その重要性はいまさら言うまでもない。

なぜいまだにグローバル化が課題にされるのか

しかし、それにしても、周知のように日本企業の海外進出はいまに始まっ たことではないはずなのに、いまになってこれほどまでに「グローバル化」 の必要性が叫ばれる背景は何か。日本企業は何十年も前から製造業は工場を 海外の至るところにつくってきたし、世界を相手に日本製品を売ってきた。金融機関もバブル期の1980年代には積極的に海外進出を果たし、不動産業に 至っては海外の土地・建物を買い漁り、世界を震撼させた時代もあった。

にもかかわらず、現在、ことさらに日本企業のグローバル化が課題にされるのはなぜか。日本企業には、グローバル化の何の要素が欠けているというのか。

そもそも企業がグローバル化するとは、製造・販売・流通・開発・資本な どさまざまな領域でのグローバル化を行っていくことだ。先に述べた通り、 日本企業はモノづくりの強みをテコに、“製造”や“販売”をはじめとした機 能のグローバル化をすでに成し遂げてきた。しかし、機能のグローバル化が 進む一方で、十分に進まず、最後まで残ってしまっている領域があるのだ。

 

最後まで進まないのが”人と組織”のグローバル化

それが“人と組織”のグローバル化だ。

製造業を中心に、数十年も前からグローバル化を進めてきた日本企業であるが、そうした企業であっても、こと“人”と“組織”にかかわる領域につ いてはグローバル化を「置いてきぼり」にしてきたといっても過言ではない。 そのつけが回り、現在、世界のグローバル企業と比較したとき、日本企業の この領域、すなわち“人と組織”のグローバル化は圧倒的に遅れをとってい ると言わざるを得ない。

今日、海外での売上や生産比率が3分の1を超えるようになったことも背景にあり、グローバル化は一部の人や一握りの部門の課題ではなく、全社的に 取り組むべき課題となった。誰もがグローバル化に無関係でいられなくなっ たということだ。そのせいで、ここにきてどの企業でも一気に“人”と“組織” の問題が大きく露呈してきているように見える。“人と組織”は、どの企業ももはや避けて通るわけにはいかないグローバル化の最重要課題だ。

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