チェンジ・エージェント (change agent) とは
チェンジ・エージェントという言葉が日本で使われるようになってきたのは、著名な経営学者であるピーター・ドラッカー氏が、その著作『ネクスト・ソサエティ』で、「組織が生き残り、かつ成功するには、チェンジ・エージェントとならなければならない。」と説いたことがきっかけだ。その影響か、チェンジ・エージェントは、「高い志と情熱をもって組織を導く改革者」と定義され、業績が思わしくない企業を再生させるやり手経営者のような人材がイメージされることが少なくない。

しかし、そもそもチェンジ・エージェントは、組織開発の世界で使われていた言葉であり、上記のイメージとはやや異なる意味合いを有している。組織開発論ではチェンジ・エージェントは、「組織改革において、心理学や行動科学の専門家が、組織構成員が変化にうまく対応できるように支援する役回り」のことを指している。したがって、チェンジ・エージェントは、変革の当事者というより、変革の触媒役であり、「変革推進者と変化を余儀なくされる人との間を仲介して信頼関係を構築し、変化を推進する役割」と言えよう。
なお、PFC(ピープルフォーカス・コンサルティング)では、「変革ファシリテーター」を「チェンジ・エージェント」と同じ意味で使っている。

誰がチェンジ・エージェントにふさわしいか
先頭に立って変革を指揮する「変革リーダー」は、その変革の内容を管掌する組織長であるのが自然であるが、変革の触媒役である「チェンジ・エージェント」の役割は、どういう立場の人が担うべきであろうか。
チェンジ・エージェントの役割は、社外のコンサルタントが担うこともあれば、社内の人間であることもある。社内の人間の場合も、管理職が担うこともあれば、非管理職が担うこともある。いずれの場合でも、最も適しているのは組織開発の知識やスキルを有している人材である。組織開発の個別の知識やスキルについては、本サイトのこちらを参照してほしいが、要約すると、

  • 人は組織が変化するときのプロセスに関する知識(心理学や組織学、プロジェクトマネジメント手法など)
  • 変革を指揮する(あるいはスポンサーする)経営陣とパートナーシップを構築するに足りるビジネスの見識
  • コーチングやファシリテーションを活用して現場の社員に対し変革の必要性や対応を効果的に指導するスキル
    といったものが主だったところである。

したがって、社内に組織開発の部署や専門家を有している場合は、自ずと彼らがチェンジ・エージェントとなる。そのような部署がない場合、最近では、変革を計画する経営企画部門が、その計画の遂行のために、チェンジ・エージェント的役割を果たそうとする例も増えてきた。本部で変革の計画を策定し、それを各現場に上意下達で行う手法に限界があることに気づき始めた結果である。
なお、人事の分野における世界的権威であるデイビッド・ウルリッチ氏はその著書『HR Champion(邦題:MBAの人材戦略)」で、「チェンジ・エージェントは人事部門が果たすべき4つの主要な役割の1つ」としている。しかしながら、日本の企業の場合、人事部門は制度の設計と運用に終始していることが多く、人事部の部員がチェンジ・エージェントとして活躍している例はあまり見ない。

チェンジ・エージェントの役割遂行ステップ
チェンジ・エージェントが具体的に為すべきことは、変革の内容や組織の状況によってもちろん異なるが、最低限、次のようなステップが必要となる。

  • 変革のリーダー(またはスポンサー)との打ち合わせ
    – 変革の必要性や方向性についての確認
    – 変革のステークホルダー(関連当事者)の見極め
    – 現場の支援方法論の構築
    – 役割分担と体制構築
    – 報告・連絡・相談のための会議体の設置
  • チェンジ・エージェント間の打ち合わせ
    – チェンジ・エージェント同士のチームビルディング
    – 現場支援方法論の習得
  • 現場の変革の支援
    – 現場の長との関係構築
    – 現場のメンバーへの働きかけ(方法論の実行)
    – 現場のメンバーへの働きかけ(方法論の実行)
    – チェンジ・エージェント同士による支援と学習
  • 変革の進捗と成果の把握
    – 進捗と成果の見える化と、変革リーダーへの報告

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