「人と組織」のグローバル化が遅れる日本企業

企業がグローバル化するとは、製造・販売・流通・開発・資本な どさまざまな領域でのグローバル化を行っていくことだ。先に述べた通り、 日本企業はモノづくりの強みをテコに、“製造”や“販売”をはじめとした機能のグローバル化をすでに成し遂げてきた。しかし、機能のグローバル化が 進む一方で、十分に進まず、最後まで残ってしまっている領域がある。それが“人と組織”のグローバル化だ。

製造業を中心に、数十年も前からグローバル化を進めてきた日本企業であるが、そうした企業であっても、こと“人”と“組織”にかかわる領域についてはグローバル化を「置いてきぼり」にしてきたといっても過言ではない。そのつけが回り、現在、世界のグローバル企業と比較したとき、日本企業のこの領域、すなわち“人と組織”のグローバル化は圧倒的に遅れをとっていると言わざるを得ない。

今日、海外での売上や生産比率が3分の1を超えるようになったことも背景にあり、グローバル化は一部の人や一握りの部門の課題ではなく、全社的に取り組むべき課題となった。誰もがグローバル化に無関係でいられなくなったということだ。そのせいで、ここにきてどの企業でも一に“人”と“組織”の問題が大きく露呈してきているように見える。“人と組織”は、どの企業ももはや避けて通るわけにはいかないグローバル化の最重要課題だ。すでに、日本企業の多くは、“人”の問題、すなわち「グローバル人材の不足」がグローバル化のネックになっていると考えているようだ。すなわち“人”の問題には関心を向け、何とかしなければならないと思っている企業は多い。経済産業省が『通商白書2013』で発表した調査結果を見ても、たとえば「海外拠点の設置・運営にあたっての課題」として、「グローバル化を推進する国内人材の確保・育成」を挙げる企業が圧倒的に多い。課題は他にも「製品・サービス」「情報」「資金」「仕組み」「理念・ビジョンの徹底」など多岐にわたっているが、数から見れば「人材の確保・育成」がいかに圧倒的な課題として意識されているかがわかる。

一方、人のグローバル化に意識して取り組む一方で、“組織もグローバル化させる”という視点を持った企業は実はそれほど多くない。グローバル人材の育成と同時に、単なる人材育成を超えた組織のグローバル化も同時に実現できなければ、せっかく育成したグローバル人材を活かすことはできない。それどころか、グローバル人材がグローバル化しきれない組織に愛想をつかして早々に出て行ってしまうということも起こりかねない。そもそも組織がグローバル化していなければ、真のグローバル人材も育たないはずだ。

人と組織は、もちろん切っても切れない関係にある。真のグローバル人材を惹きつけ、真のグローバル人材を育成していくのは、グローバル化された組織という土壌があればこそできることだ。

日本企業にとっては、真のグローバル化のために、人と組織、とりわけ「組織のグローバル化」を主要課題と認識すべき時代がやってきた。にもかかわらず現状では、組織のグローバル化に取り組んでいる企業は稀だ。

(『グローバル組織開発ハンドブック』P32より)

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