レジリエンス (resilience)とは
レジリエンスは、元々は心理学・精神医学の領域の概念で、「精神的回復力」や「復元力」という意味である。「打たれ強さ」などと解釈する人もいるが、「打たれてもびくともしない」という頑強さではなく、いったんは落ち込んでも、また立ち上がることができるしなやかさという意味合いであることを留意したい。同じレジリエンスという言葉は、物理学でも、 「外力による歪みを跳ね返す力」という意味で使われていて、稲穂のようなものをイメージすると、しなやかさや弾力性のニュアンスがあることがわかるだろう。「再起力」と訳す人もいるが、最近では「レジリエンス」とカタカナで表記するのが一般的になりつつある。
近年では、組織行動論や経営学でもレジリエンスという概念が取り上げられるようになった。背景には、大災害やリーマンショック、テロなど、企業に降りかかる強い負の外力が頻発するようになったことがある。経営において、レジリエンスとは、「危機対応しつつ、それをきっかけとして、組織がより創造的に、あるいは強固になり、最終的には成長につなげる力」という考え方である。

レジリエンスを高めるには(個人編)
レジリエンス研究で著名なサルバトール・マッディ氏とデボラ ・コシャバ氏は、イリノイ・ベル・テレフォン社に勤務する450人の管理職を対象に行った調査では、事業縮小に伴う失業や、組織改変に伴う大きな変化を経験した半数以上の従業員のうち、約3人に1人がストレスに耐えただけでなく、そうした経験から成長した様子を見せたことが判明したという。 では、同じ逆境を経験しても、それを乗り越える人とそうでない人との間では、どのような違いがあるのだろうか。彼らはその特徴を次の3つのCでまとめている。

・ COMMITMENT:自分の周囲の出来事や人々から退くことなく、あくまでも周囲の人と関わり合うよう努める
・ CONTROL:自分の周囲の物事や変化の結果に対して、諦めずに良い影響を与え続けるよう努める
・ CHALLENGE:変化に対するストレスを否定し続けるのではなく、そこから学び解決できるよう努める
出所: “Resilience at Work: How to Succeed No Matter What Life Throws at You”, Salvatore R. Maddi and Deborah M. Khoshaba (著) (『仕事ストレスで伸びる人の心理学』ダイヤモンド社刊

なお、ピープルフォーカス・コンサルティングでは、次のフレームワークのもと、レジリエンスの研修を行っている。
準備:逆境に耐え抜くエネルギーを日頃から蓄えておく
逆境に直面したら:
Step1 現状を理解し、受け入れる
Step2 意味を見いだし、自分の糧にする
Step3 状況に応じてできることをやる

レジリエンスの研修は、リストラや事業売却など大きな変革に直面するクライアントから依頼されたり、あるいは、海外赴任前研修の中で紹介したりすることが多い。

レジリエンスを高めるには(企業編)
企業経営の領域では、レジリエンスを、BCP(事業継続計画)、リスクマネジメント、危機管理などを総称した言葉として使う人もいる。しかし、これらの手法は、地震など特定の状況を想定して、その対処法を予め考えておくというものだ。対して、レジリエンスの本質は、想定外のことが起きてダメージを免れなかったときに、そこから回復し、再起し、より強くなることができるかを問うものであると考えられる。 事例として浮かぶのが、2009年から2010年にかけて起きたトヨタ自動車の大規模リコールだ。リコールに要した費用もさることながら、米国議会やマスコミ、消費者などから大変なバッシングを受け、トヨタのブランドイメージが地に落ちたかのように見えた。業績も急落を余儀なくされた。しかし、その後、トヨタの業績は急回復し、2014年には営業利益が2兆円を突破し史上最高益を更新するという快調ぶりだ。より強くなって戻ってきたその姿は、レジリエンスという言葉がよく当てはまる。
では、企業はどのようにしてレジリエンスを高めることができるだろう。リンダ・グラットン氏がその著書で、レジリエンスの高い企業には、以下の3つが必要だと論じている。

  • 知性と知恵(従業員の洞察力や分析力)
  • 精神的活力(従業員のやる気)
  • 成功体験や失敗体験から教訓を学び取り、組織内で共有する仕組みや習慣がある
    出所: 『未来企業〜レジリエンスの経営とリーダーシップ』 リンダ・グラットン著、プレジデント社刊

また、われわれピープルフォーカス・コンサルティングが考えるレジリエンスの高い組織の特徴は次の通りである。

  • 経営理念が浸透していて、意思決定や行動の道しるべとして機能している
  • 問題が起きたときに、責任のなすりつけあいや他責をするのではなく、健全な自責の念をもちながら協力しあう風土がある
  • 階層や部署を超えたコミュニケーションが活発になされている
  • 挑戦することが奨励されていて、失敗しても挑戦したことが評価される
  • 成功体験や失敗体験から教訓を学び取り、組織内で共有する仕組みや習慣がある
    組織をこのような状態にもっていくことは、すなわち、日頃から組織開発に取組むことに他ならない。したがって、組織開発は今後、ますます重要となっていくであろう。

ページ上部へ戻る
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。