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組織の捉え方
組織開発は当然、組織を対象としているわけだが、そもそも「組織」とは何か、どのように捉えたらよいのか。
世の中にある様々な組織に対する打ち手は、それを考案した学者やコンサルタントの組織観に基づくものであるといえよう。
たとえば、ジョン・カッツェンバック氏は、公式の組織より非公式なネットワークのほうが企業活動に大きな影響を与えているという仮説のもと、「インフォーマルなネットワーク」としての組織の捉え方を提唱した。あるいは知識創造企業で著名な野中郁次郎教授は、「知識創造の母体」としての組織という見方の生みの親であろう。 組織開発の分野で最近に広まりを見せたAI (Appreciative Inquiry)などに代表されるホールシステム・アプローチは、「センス・メイキングとしての組織化」という新しい組織観が土台にある。 組織開発の実践者は、ひとつのレンズだけではなく、様々なレンズを通して組織を見るように心がけたい。
ここでは、神戸大学金井嘉弘教授による「10の組織の捉え方」を紹介する。これによると、自分がどのような組織観に基づいているのかを自覚することが重要であると金井教授は述べている。
出典:「経営学入門シリーズ『経営組織』」(日経文庫);著者の承諾の下、転載

組織の
捉え方 
組織観  人間観 
 ハコ ・ 組織図に表されるような、命令、指示、報告のフォーマルな経路
・ 組織図の中のハコとハコの間のつながりに注目する
・ 秩序を尊び、曖昧性を好まない人間

インフォーマルなネットワーク ・ 公式の組織図とは、両立するが別個のインフォーマルなネットワーク
・ ハコが組織の骨格なら、こちらは神経系  
・ 人とのつながりを自ら作り出していくネットワーカー

 
 協働の体系 ・共通の目的に向かってコミュニケーションをとりながら、意志を持って主体的選択により協働する人々のシステム ・目的に対して自分の限界を知り、他の人々と協働する人間
 
多元的重複
集団
・ 連結ピンで幾重にも重層的に連なった諸集団
・ どんな大組織も集団から成り立つことに注目する
・ 組織に所属する前に集団に所属し、他の集団と連結を取り付ける連結ピン(特に管理職)
 
情報処理
システム
・ 環境は、不確実性の源泉で、それに対処していくための情報処理システムとしての組織 ・自らの情報処理者として振る舞う人間
 
知識創造の
母体
・ ひとりでおこなっているときには、暗黙のままでよい知識を他の人々に伝わる形で転換する場としての組織
・ 日本の組織の研究から生まれた組織観  
・ 知識を扱うという意味で、ナレッジエンジニア

資源の束 ・ ヒト、モノ、カネ、情報などの資源の束がそこに存在し、その組み合わせ、活用のいかんによって、組織のダイナミズムや、組織のコンピタンスが生まれる
・ 組織間関係の問題も照射する
・ 資源の束の構成要素のうちの、能動的要因としてのヒト


生涯発達の場 ・ ひとの成長や発達が学校にいる間で完結しないとすれば、学校以外の組織も、ひとが生涯にわたってキャリアを歩みながら発達していくための舞台を提供する ・ 20代、30代、40代、50代、60代いくつになっても発達課題を持つ個人

 
政治システム ・ 目的の設定や目的に至る手段の選択において、支配的連合体を中心に政治的な駆け引きの過程が生じる場
・ 一見ダーティだが、組織変革やイノベーションが生じるときには見逃せない側面
・ 相手に影響力を振るうために、結託したり、駆け引きをする人間


センス・メイキングとしての
組織化
・ かっちりとした形で組織を連想するのではなく、不断の組織化の過程として捉える
・ 構成員の相互接触やそれを通じての世界の見方の共有化、意味づけに注目
・ 進化論的な見方でもある  
・ 皆とともにやっていけることを意味づける「地図」を見出そうとする意味探索人

 


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